ロンドンの4人組が愛を歌う3年ぶりの新作はオルタナ・ロックならではのヒリヒリとした感覚を残しながらメインストリームで勝負できるダイナミックさを見事、手に入れた。それが顕著に表れた80s風ポップ・バラード“How Can I Make It OK”からの激情パンク“Play The Greatest Hits”という流れには思わず眩暈を感じずにいられないが、それこそがウルフ・アリスの本質なのだろう(それを象徴するのが最新のアーティスト写真における紅一点シンガー、エリー・ロウゼルのゴシック・ファッションか)。その軸がぶれない限り、トラッド・フォークからヒップホップまで音の幅を広げてもその世界観が揺らぐことはなさそうだ。包容力を身につけた成長はクランベリーズの軌跡とちょっと重なったりも。