インタビュー

オーサカ=モノレール 『RIPTIDE』 Part.1

何がファンクで、何がヴィンテージ? 理屈じゃないグルーヴを食らう準備はもうできてる? 原点回帰してファンキーに荒ぶるモノレールにもう乗れる?

オーサカ=モノレール 『RIPTIDE』 Part.1

 結成から20余年、ジェイムズ・ブラウンを崇めながらストイックにファンクを究めてきた、中田亮の率いるオーサカ=モノレール。3年ぶりとなる8枚目のアルバム『RIPTIDE』も中田のヴォーカル/鍵盤を軸にした痛快なファンク盤だ。ただし、キャッチコピーに〈原点回帰〉〈Deep Funkの復権〉〈シーンに喝!〉という意欲的かつ挑戦的な言葉が飛び出す今作では、精神的な変化があったという。

オーサカ=モノレール RIPTIDE SHOUT!(2014)

 「ファンクという、言うなれば狭いジャンルのなかでもいろんなことが起こっています。ツアーでヨーロッパに行きはじめた2006年頃にはヨーロッパのファンク・バンドの大きな流れがありました。そういったことに流されず、〈68年頃のファンクをやりたい〉ってことでやり続けてきたんですけどね。ただし前作では、他のバンドと違うことをやろうというアルバム・コンセプトがあった。今回は逆に、フラットな気分になって、頭でっかちにならずに、やりたいことだけをやろうと」。

 昨年7月、イタリアでの〈ポレッタ・ソウル・フェスティヴァル〉出演時に目の当たりにした光景にも刺激を受けたようだ。

デヴィッド・ハドソンのショウが、ほんまにソウル・ショウで、ボビー・ウーマック“That's The Way I Feel About You”のイントロで延々と愛についての説教をやるわけです。そうしたら、お客さんは白人ばかりなんですが、ボビー・ラッシュのダンサーの黒人女性が客席で欲情してて、フーフーと扇いでいる姿に……あぁ、やっぱりこれやな、と(笑)」。

【参考音源】ボビー・ウーマックの72年のシングル“That's The Way I Feel About Cha”

 

 チトリン・サーキット的なディープな側面を垣間見て、レコードに記録された音以外の〈黒人のリアル〉をここにきて痛感したという中田。それは故マーヴァ・ホイットニーの葬儀に参列した際も同様だったという。こうした体験を経て制作に臨んだ今回の新作は、これまでもツアーや楽曲制作に携わってきたドイツ人のDJパリを共同制作者に招き、録音を2日で完了。6曲のオリジナルと3曲のカヴァーで構成されたアルバムには、その表題に引用された“(She's A)Riptide”(じゃじゃ馬娘に気をつけろ!的な内容)をはじめ、JB流儀のファンクが並ぶ。Q.A.S.B.Amy Aがコーラス参加した“Liberty”では、「〈68年ってカッコいいよね〉だけで終わっていたら何の意味もないから」と、キング牧師の暗殺前日(68年4月)の演説を織り込んでいるが、それも含めて68~72年という時代への熱い思いは今回も変わらない。その一方で、JB/ファンク・フリークの中田らしいヒネリもある。

「“Fruit Basket”は75~6年あたりのJBですね。フレッド・ウェズリーとかメイシオ・パーカーとかがいなくなったダメな時期で、時代にも合わない、本人も勢いがないという、その時の感じをあえてやったんです(笑)。“Solar Eclipse”はジャズ感というか、(さまざまな音楽が交錯する)アメリカの匂いを出せたらと思いながらピアノを弾きました。メンバーの池田(雄一)が書いた“Calinga”は、ハービー・ハンコックの『Fat Albert Rotunda』(69年)に入ってるジャズ・ファンクのようなハーモニー感でやろうと。ただ、完成したら73年くらいの音だった(笑)」。

 カヴァーも憧れの時代の曲。MUROのDJプレイでも知られ、「ヒップホップの人もファンクの人も皆が好きなはず」というJBの“The Drunk”(70年)、「特に理由はないけど前からやりたかった」と話すクリフ・ノーブルズ&カンパニーの“The Horse”(68年)、復活作に協力したマーヴァ・ホイットニーの“Ball Of Fire”(68年)がそれで、特にマーヴァの他界直後、2013年1月にシドニーで録音したピアノ・ヴァージョンの“Ball Of Fire”には「アルバムの最後で泣いてほしい」という思いがあるそう。その最後まで、ディープ・ファンクのコンピを思わせるジャケット写真よろしく気迫満点。中田が運転するモノレールは、〈ファンク〉という行き先を示しながら見えない終点に向かって走り続けているのだ。

【参考音源】ジェイムズ・ブラウンの70年のシングル“The Drunk”

 

▼オーサカ=モノレールの近作

左から、2006年作『REALITY FOR THE PEOPLE』、2009年のライヴ盤『LIVE IN SPAIN』(共にPヴァイン)、2011年作『STATE OF THE WORLD』(キング)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

 

▼関連作品

左から、“The Drunk”を収めたジェイムズ・ブラウンのシングル集『The Singles Volume Six: 1969-1970』(Hip-O Select)、クリフ・ノーブルズ&カンパニー“The Horse”を収めたコンピ『Kent's Cellar Of Soul Vol.3』(Kent)、Q.A.S.B.の2013年作『Q.A.S.B. II』(Soul Garden)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

 

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