2021年8月9日、RYUTistは念願のデビュー10周年記念公演〈10th Anniversary RYUTist “HALL” LIVE @りゅーとぴあ 劇場〉を終えました。10年間の歩みを一夜のパフォーマンスに込めた4人の姿を見て、多くのファンが深く感じ入ったことでしょう。ライブの翌日には10周年記念シングル“パーティーを続けよう!”を配信し、4人は新たなフェイズに入ったばかり。

そんなRYUTistのともちぃ=宇野友恵さんによる書評連載が、この〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉です。第8回に取り上げるのは、元チャットモンチー・高橋久美子さんの初の小説集「ぐるり」。友恵さんはこの本を読んで、人と人との出会いについて思いを馳せたようです。 *Mikiki編集部

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先日8月9日、RYUTistの10周年記念ライブを無事、終えました。
正直、この感染拡大がさらに進んでいる状況での開催、心配でした。
そんな中でもライブを観にきてくださった皆さん、そして、行かないことを選んで応援していてくださった皆さん、どちらにも感謝したいです。

ずっと願っていた有観客ライブは、1年半分か、いや、それ以上の想いが溢れました。
沢山のペンライトが嬉しくて、でも、ときどき空いた席が寂しくて。
もうどう伝えたらよいか、言葉では表現しきれない円周率のようなものの中にいます。

ひとつ言えるのは、無観客の配信ライブとはやっぱり全然違ったということです。
私が一番自信を持って、輝くことができる瞬間は、応援してくださる皆さんの前で歌い踊る時だとはっきりと分かりました。

大きく心が揺さぶられた10周年記念ライブ。
きっとこの日のことはおばあちゃんになっても忘れません。

 

〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉第8回目は、高橋久美子さんの「ぐるり」をご紹介させていただきます。

高橋久美子, 奈良美智 『ぐるり』 筑摩書房(2021)

普通の生活といっても、その人だけの過ごし方がある。
日常の小さな喜びや出来事を描いた物語です。

ちなみに今回の撮影は、新潟市役所前にある〈カフェ・ド・プライム〉さんで。
この連載でも時々登場する〈北書店〉さんの並びにあるのでよく行きます。
マイルドチキンカレーさんをいただきました。マイルドといってもなかなかに辛い(笑)。
ぜひ一度食べてもらいたい名物の美味しいカレーです。

 

元チャットモンチーさんのドラマーだった高橋さん。
現在は作家・詩人・作詞家として活躍され、この「ぐるり」が初の小説集となります。
奈良美智さんの挿絵も素敵です。

主人公は老若男女さまざま。人間以外のものだったり、バラバラで、各話で登場人物が少しずつ絡み合う連作短編集でした。

いくつもの線が存在する空間で、時々その線と線が交わる瞬間がある。
それが階段ですれ違った人。一年だけ一緒に過ごした人。喫茶店で居合わせただけの人。
よくある、〈世の中狭いよねぇ〉とお隣さんと話すことのような、それぞれが生きる日常のどこかで繋がっているというストーリーに心があたたまりました。