2021年8月27日、東京・Zepp DiverCityにてニガミ17才の自主企画ライブ〈ニガミ17才と〉が行われた。2019年からニガミ17才のメンバーが〈純粋に対バンしたいバンド〉と対バンするこの企画、今回の〈と〉には打首獄門同好会が選ばれた。
等間隔でずらりと椅子が並べられたZepp DiverCity。その椅子一脚一脚には、オシャレなデザインが施された謎の歌詞カードが置かれ、会場にはクラシックのBGMが。いつものニガミのライブとは雰囲気がだいぶ異なるようだ。
定刻になり、打首獄門同好会から演奏がスタート。まずは来場者全員、いや全世界の人間の気持ちを代弁した楽曲“新型コロナウイルスが憎い”から始まり、“足の筋肉の衰えヤバイ”、“筋肉マイフレンド”で会場全体が準備運動(もちろん決められた位置で)。MCでは大澤敦史(ギター、ヴォーカル/以下会長)が2019年以来となる対バン・ライブに呼ばれたことに感謝と喜びの意を表し、人が集う空間でライブすることに対してルールを守り信頼を得ていくことの重要性などを話す。一方で、フェスやイベントが中止になったことで今年はゴールデンウィークが4月から7月まであった、お盆休みも1か月あったと笑いも誘いながら、〈これを歌うのも今年最後になるかもしれない〉と“なつのうた”、〈休みは多かったけど〉“はたらきたくない”と続けていく。
会長は〈ニガミ17才と打首獄門同好会は同じ動物について歌っているという共通点がある〉とし、ニガミの名曲“ねこ子”の一節を演奏した後“猫の惑星”を披露。ニガミ17才のヴォーカル、岩下優介とは岩下の前バンド、嘘つきバービー時代から繋がりがあったことも明かす。打首は“きのこたけのこ戦争”、“島国DNA”とヒット・ナンバーで会場の熱気を上げていき、〈俺たちがみんなの代わりに声を出すから、いつかその時が来たら一緒にライブハウスで声を出して遊びましょう〉と叫び、“日本の米は世界一”で締めくくった。
続くニガミ17才が登場すると、岩下、平沢あくび(シンセサイザー)、イザキタツル(ベース)、kyon(サポート・ドラム)がステージ前方のお立ち台に上がって“A”からスタート。岩下の指示のもと、各々が踊ったり演奏したりしながら持ち場についていく。
〈ライブハウスへようこそ!〉という岩下の合図とともに“おいしい水”へ。〈かわき〉の歌詞に合わせてあくびが手をタコ?それとも幽霊?のようにして左右に振ると、それに応えるオーディエンス。声を出せない中で、まるでライブハウスにおける新たな一体感が生まれているようだった。そのまま“ただし、BGM”へ。イザキのうねるベース、あくびの印象的でスペイシーなシンセサイザー、岩下の刻むギターのグルーヴで、観客を沸かせていく。
続いての“ねこ子”では、いつもならばあくびがネコのパペットを装着してティッシュをまき散らすのがお約束だが、この日はそれに加えてハンディ・カメラを持ち出してメンバーや観客を映してカメラマンに扮するパフォーマンスも披露。
MCでは岩下が、ステージ終わりの会長が楽屋前で嘆いていたことを暴露。実は先ほどのライブで会長が“日本の米は世界一”のサビ前の〈日本の〉というフレーズを歌い忘れていたのだ。そこで岩下は、〈だからその部分だけ俺が歌います。こういうのが対バン・ライブの強み〉と言うと、〈日本の!〉とだけ歌い放つ。するとオーディエンスからは大きな拍手が起こり、岩下は〈これで全て丸く収まった!〉と会場を盛り上げた。