2年ぶりとなる3枚目のフル・アルバム。近年、数々のリミックス仕事で披露してきたように器用で手札が多い印象の彼らだが、アルバム・タイトルが示すように〈声〉に重きを置いた本作でも弓木英梨乃や川辺素(ミツメ)らを招いた歌モノにおけるヴォーカリストの際立たせ方がやはり抜群で、凝ったダンス・ミュージックの手法を随所に忍ばせながらもポップスとして成立させているのは流石。合間のインストも粒揃いで飽きさせず、全編に漂うノスタルジックでオリエンタルなムードは昨今のシティー・ポップ的な諸々とはまた違った意味で存分にエモい。さらに“潜水”や“海鳴り”といった曲名やジャケ写は〈海〉のイメージを強く喚起するもので、青く深いサウンドスケープは夏の海にも冬の海にもよく合いそう。