越境を試み、〈型にはまらない〉ことを体現する
サウンドやミュージックビデオでさまざまなジャンルを横断し、越境的な姿勢を示してきたことも見逃せない。デ・ラ・ソウル“Ring Ring Ring (Ha Ha Hey)”(91年)を彷彿とさせるサンプル使いで90年代R&Bへの愛をミッシー・エリオットとともに表現した“How Ya Doin’?”(2013年)。カルト的人気を誇るキッチュな学園映画「ザ・クラフト」(96年)のパロディーに合わせ、軽快な80年代風ポップスをこなしてみせた“Black Magic”(2015年)。呪文のような囁き声とミニマルなビートが絡み合い、MVではメンバーがボールカルチャーやヴォーギングなどへのオマージュを披露する“Wasabi”(2018年)。リトル・ミックスは一作ごとに、世間からの〈こうあるべき〉という期待を裏切り、常に自分たちのイメージを刷新してきた。この〈型にはまらない〉ことをよしとする姿勢もまた、LGBTQ+リスナーに強く訴求するものがある。
積極的な支援活動、パワフルな歌声、ジャンルを越境する音楽性とヴィジュアル。これらがリトル・ミックスをこの10年で〈クィア・アイコン〉としての地位に押し上げたのである。
学ぶことをやめず、あるべき姿を考え続ける真摯な態度こそが強さ
リトル・ミックスは全員がLGBTQ+コミュニティーへの支持を表明しているが、そのなかでも特に熱心なのがジェイドだ。ペリーと同じくイギリス北部の小さな港町、サウス・シールズで育った彼女は、幼少期からさまざまな場面でホモフォビアを目撃し、それに対する違和感を抱いていたという。またイエメン/エジプト系の母を持つミックスルーツの人間として、ロンドンのLGBTQ+シーンに出入りすることで〈誰もがありのままでいられる〉場所の大切さを知ったとも語る。
ジェイドにとって〈アライ〉とは、「LGBTQ+について学ぼうとすることをやめず、人々の問題意識を高め、必要とされたときにすぐ力を貸せる」よう努力し続けるということなのだという。ロックダウン中には、LGBTQ+史に関する本を読み、寄付も行ったそうだ。2021年4月に発表したMV“Confetti”のなかで男装を披露したことについて、「自分たちがやるだけではなく、ドラァグキングたちにも出演の機会を与えるべきだったのでは」と批判された際、その指摘を認め6月に迅速に謝罪。当事者の声を重視する、というリトル・ミックスのアライとしての真摯さが垣間見えるエピソードだ。
〈アライ〉として当事者の側に立ち、現状で満足せずよりよい支援のありかたについて模索し続ける。その誠実さこそが、リトル・ミックスの人気を支え続ける、真の意味での強さなのだ。
RELEASE INFORMATION

リリース日:2021年11月12日
配信リンク:https://sonymusicjapan.
TRACKLIST
1. Shout Out to My Ex
2. Black Magic
3. No
4. Touch
5. Love (Sweet Love)
6. Wings
7. Woman Like Me (Ft. Nicki Minaj)
8. Power (Remix) (Ft. Stormzy)
9. Sweet Melody
10. No More Sad Songs (Remix) (Ft. Machine Gun Kelly)
11. DNA
12. Secret Love Song (Ft. Jason Derulo)
13. Move
14. Salute
15. Break Up Song
16. Between Us
17. Secret Love Song, Pt. II
18. Holiday
19. Hair (Remix) (Ft. Sean Paul)
20. Reggaetón Lento (Remix) by CNCO & Little Mix
21. Confetti (Remix) (Ft. Saweetie)
22. Heartbreak Anthem by Galantis, David Guetta & Little Mix
23. Kiss My (Uh Oh) by Anne-Marie & Little Mix
24. Cut You Off
25. Trash
26. Wasabi
結成10周年&ベスト盤発売を祝うLINE LIVEスペシャル番組決定!
祝★10周年 JAPAN LOVES LITTLE MIX
配信日時:11月12日(金)20:00~21:00予定
※アーティスト本人の出演はございません。
番組視聴はこちらからhttps://live.line.me/channels/2363759/upcoming/17973407