アメリカのシンガー・ソングライターがリリースしたセカンド・アルバムは、リスナーの心に深く突き刺さる繊細な言葉選びが光る素晴らしい作品だ。同性愛という愛の形に抵抗感がある人も多い現在を切り取ったような表題曲など、レズビアンを公言するスネイル・メイルの個人的心情が随所で窺える。婉曲な表現は少なく、それでいて複雑な機微を鮮明に描ける才能はとても輝いている。そうした言葉と交わるサウンドも良質だ。親しみやすいメロディーと心地良い譜割りが際立ち、もともとハイレヴェルだったソングライティング能力がさらに進化したと瞬時にわかる。なかでもお気に入りなのが“Headlock”だ。幽玄な響きを放つピアノとギターが特徴で、高品質なポップソングとして耳に沁みわたる。