Mikikiでは2021年3月より、〈ミュージシャンやレーベル関係者、ライブハウス関係者など音楽に関わって仕事をする人々に、コロナ禍以降愛聴していた1曲を挙げてもらう〉という趣旨の連載〈アーティストと音楽関係者が選ぶ「コロナ時代の1曲」〉を続けてきました。そしてこの度、その枠組みを拡張する形で、さまざまなテーマに沿って〈わたしの1曲〉を選んでもらう連載をスタート。

記念すべき最初のテーマは、〈91年リリースの1曲〉です。91年といえば、洋楽邦楽問わず多数の名曲・名盤がリリースされた豊作の年。そして今年2021年は、あれからちょうど30年という節目の年です。当時リアルタイムでリリース作品を聴いていた人、後追いでそれらを聴くようになった人。それぞれの立場からの思いが滲んだ選曲をどうぞお楽しみください。 *Mikiki編集部

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カジヒデキ

96年『MUSCAT E.P.』でソロデビュー。97年1月に発表したファーストアルバム『MINI SKIRT』では、世界的なブームになる直前のスウェーディッシュポップの要素を取り入れ、30万枚を超える大ヒットを記録するなど90年代の渋谷系を牽引した。その後もトーレ・ヨハンソン、エッグストーン、パステルズ、ベルトラン・ブルガラらと制作した作品を発表するなど自身のルーツとなるネオアコースティック/ニューウェイブ/ポストパンクをベースに音楽的な領域を拡げている。今年は配信シングル“DREAMS NEVER END”、“NAKED COFFEE AFFOGATO”をリリースし、11月27日にはファーストアルバム『ミニスカート』初のアナログ盤をリリース。また先行配信リリースをしたクリスマスソング“クレールの膝”を含む3曲入りCD『(I Wish It Could Be) Christmas Everyday』+ クリスマスカードセットを12月12日(日)に販路限定でリリース予定。

 

あなたにとって最も印象に残っている、91年リリースの曲は何ですか?

フリッパーズ・ギター “GROOVE TUBE”(『DOCTOR HEAD’S WORLD TOWER -ヘッド博士の世界塔-』収録曲)

1991年は僕にとって最高にエキサイティングで、激動の年でした。当時やっていたバンド〈BRIDGE〉の活動が軌道に乗り、瀧見憲司さんが立ち上げたCrue-L Recordsの記念すべき1作目の作品(コンピレーションアルバム)に参加したり、メジャーレコード会社のコンピに参加したり、活動の場がどんどん拡大した年でした。プライベートでも初めてロンドンを中心にイングランドを1か月間旅し、当時一大ムーブメントになっていたマッドチェスターやインディーダンスの熱を肌で感じ、脚光を浴び始めたシューゲイザーの息吹を全身に浴びる事が出来ました。

そんな僕にとってフリッパーズ・ギターというバンドが、当時どれほど僕の生活の中心にあったか計り知れません。彼らは僕の友人であり、同時に憧れのスターでもありました。1991年は歴史的名盤が数多く生まれた大豊作の年でしたし、大好きな曲やアルバムが沢山思い浮かびます。しかし1曲選ぶとすれば、フリッパーズ・ギターの“GROOVE TUBE”になるでしょう。

この前作にあたるシングル“LOVE TRAIN”でマンチェ色を前面に出し、UKロックとの同時代性をアピールした彼らは、この曲でヒップホップ的なサンプリングや、プライマルやローゼス的なハウスビートを大胆に取り入れ、誰にも有無を言わせないような日本のロックに金字塔を打ち立てました! アバンギャルドでエロティックなサンプルを使いつつ、メロディーは万人にアピールしうる普遍的なポップス。サイケデリックなリリックとビジュアル。これは革命でした!

しかもこの曲のPV撮影に参加させて頂いた事が、より一層思い入れを強くしていると言えます。それはまるで岡崎京子さんの漫画の世界に入り込んだような白昼夢のように記憶しています。その約4か月後に『DOCTOR HEAD’S WORLD TOWER』がリリースされ、10月には解散が発表されました。あの時、僕は何を思ったんだろう? もうそれが全く思い出せません……。そしてその後、90年代は目まぐるしく変化した時代になりました。まるでこの曲のイントロのノイズのように。

 


RELEASE INFORMATION
CD『(I Wish It Could Be) Christmas Everyday』+ クリスマスカードセット

先日配信リリースした“クレールの膝”を含む3曲のクリスマスソングを収録したCDになります。直筆メッセージ付きのクリスマスカードと一緒にお送りいたします。

カジヒデキの贈るクリスマス青春譚“クレールの膝”。フランスの映画監督エリック・ロメールの作品からインスパイアされたこの曲は、夏からクリスマスの季節へと向かうひたむきな少年の心情を綴ったアップテンポな青春譚です。

“I Wish It Could Be Christmas Everyday”はイギリスのロックバンド、ウィザードが73年に発表した楽曲のカバー。この2曲は共同プロデュース/キーボードとして堀江博久さんを迎え、カジヒデキはボーカル/ベースを担当、KONCOSの古川太一さんと佐藤寛さんもドラムとギターで参加し、バンド編成ならではのダイナミックな楽曲に仕上がっています。

インストゥルメンタルの“The Winter Fields / 冬の野原を疾走する子供たち”は始まった瞬間から、寒い冬のクリスマス時期に感じるウキウキした高揚感に包まれた楽曲です。この楽曲は共同プロデュース・キーボードで堀江博久さん、トラック制作・ミックスで冗談伯爵の新井俊也さんが参加しております。

TRACKLIST
1. Claire’s Knees and Christmas / クレールの膝
2. I Wish It Could Be Christmas Everyday / 毎日がクリスマス
3. The Winter Fields / 冬の野原を疾走する子供たち

★ご予約はこちらから

 

カジヒデキ 『ミニスカート<レコードの日対象商品>』 BLUE BOYS CLUB/AWDR/LR2(2021)

リリース日:2021年11月27日
フォーマット:LP
品番:DDJB-91219
価格:5,500円(税込)

TRACKLIST
[Disc 1]
【A面】
1. LA BOUM~MY BOOM IS ME~ / ラ・ブーム~だってMY BOOM IS ME~
2. MUSCAT / マスカット
3. BABY BABY, ME ME ME / ベイビー・ベイビー、ミー・ミー・ミー
4. FOREVER YOUNG / ポニーテールの頃
5. TOKYO TO LONDON / トウキョウ・トゥ・ロンドン
【B面】
1. LIPSTEREO / ボブの匂い
2. WEEKENDERS / ウィークエンダーズ
3. HEART / ハートじかけのオンガク
4. POP! CUTE! SWEET! / ポップ・ソングをつくろう
5. YOU AND ME SONG (FOR KINKS) / ブルー

[Disc 2]
【A面】
1. EGGSTONE / たまごの中の欲望
2. SIESTA / 君のハートのナチュラル
3. GREEN RAMBLER / ランブラーでランデブー
4. HERE IS OUR STREET!! / 夏物語
【B面】
1. WATER / 水 (ボーナストラック)
2. ファースト・クエスチョン・アワードのテーマ~ハイ・スクール登校編~ (ボーナストラック)
3. 77人分のコーヒー代 (ボーナストラック)
4. HEY HEY BABY POP (ボーナストラック)
5. ささやかだけれど、役にたつこと~アコースティック・ヴァージョン (ボーナストラック)

 


LIVE INFORMATION
カジヒデキのクリスマス・ストーリー

■カジヒデキのクリスマス・ストーリー in 東京
2021年12月16日(木)新代田FEVER
開場/開演:19:00/19:30
前売料金:4,000円(ドリンク代別)
出演:カジヒデキ/堀江博久/古川太一/佐藤寛

■カジヒデキのクリスマス・ストーリー in 京都
2021年12月17日(金)CLUB METRO
開場/開演:18:00/19:00
前売料金:4,000円(ドリンク代別)
出演:カジヒデキ/堀江博久/古川太一/佐藤寛/HALFBY(SPECIAL GUEST DJ)

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