Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。連載100回を超え、5人が1曲を厳選し計5曲を掲載してまいります。 *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

 


【田中亮太】

カジヒデキ “DREAMS NEVER END”

まずはカジさん、チェルシーのCL優勝、おめでとうございます! そんなチェルシー・ブルーがジャケットにあしらわれた新曲“DREAMS NEVER END”。お父さんになったカジヒデキが歌う〈夢は終わらない〉は、これまで以上に強い想いが乗っている気がします。自分も同じ親として、子育てしながらでは、それまでと同じようには生きられないことを知っているから。そして、それでも夢見がちな自分でいたいし、子どもにそんなロマンティシズムを託していきたいから。〈LOVE PARADE〉なんて言葉も出てくる自己言及的なこの曲からは、カジさんが〈カジヒデキの青春ストーリー〉をお子さんに話しているような、そんな光景が浮かびます。すごくグッときたし、音楽家・カジヒデキは次のフェイズに入っている、そんな印象も受けました。

 

【酒井優考】

CAPSULE “ひかりのディスコ”

音楽メディアを見ていると〈進化〉とか〈成長〉といった言葉をよく目にするのですが(自分もつい使ってしまう)、それは本当に進化なのか? ただの変化や経年、老化では? むしろ前より悪くなってないか? そもそも進化や成長することが良いことなのか?などと思うこともしばしばです。CAPSULEが6年ぶりにリリースした新曲“ひかりのディスコ”は、もちろん進化も成長もしていると思うけど、同時に退化もしていると思っていて。いや単純に退化というと悪い意味に捉えられるけど、約15年ぶりの日本語タイトル曲、10年前の“WOLRD OF FANTASY”を髣髴とさせるメインのリフからは、一度成長しきったアーティストがどこかの地点に立ち戻って、別の方向へ進化を始めたような、RPGでジョブチェンジしてレベル1からやり直し(けどスキルな能力はそのまま引き継ぐ)みたいな雰囲気を受けたんです。それでいてもちろん正統に進化もしているし、ヤスタカ印も消えていない。だから新作がどんなものになるのか、とてもとても楽しみです。(あと全く老けないお二人は波紋使いか何かですか?)

 

【天野龍太郎】

宇多田ヒカル “PINK BLOOD”

リリースされたのは先週6月2日だし、何回も聴きすぎているので、もう最新の曲という感じがしないんですけど、やっぱりこれを紹介しないわけにはいけません。宇多田ヒカルの新曲“PINK BLOOD”。タイトなサウンド・プロダクション、沈み込むビート、ナチュラルだけれど挑発的な歌の譜割りやリズム、ラストにさりげなく訪れる開放的なサビなど、どこをとっても素晴らしいのですが、やっぱり歌詞がぶっ刺さります。配信リンクはこちら

あと、脈絡がないけれど、Taiko Super Kicksがサプライズ・リリースした新作『波』も最高なのでおすすめです。

 

【鈴木英之介】

中村佳穂 “アイミル”

細田守監督の新作映画「竜とそばかすの姫」の主演声優への抜擢でも話題の中村佳穂による、1年9か月ぶりの新曲。まさに〈待望の〉と言うべきだろう。ソウルと民謡が混ざり合ったようなまったく独自の歌唱、祝祭感を感じさせる抜群にキャッチーなメロディー、低音が効いていて思わず身体が揺れてしまうダンサブルなビート、一見シンプルながら細かな芸が幾重にも張り巡らされたサウンド、そして2分あたりで来る間奏の怒涛の展開。中村本人の〈もんのすげ〜ど!!!〉という言葉は伊達じゃない……。

 

【小峯崇嗣】

揺らぎ “Underneath It All”

関西を中心に活動するバンド、揺らぎが2021年6月30日(水)に発売する待望のファースト・アルバム『For you, Adroit it but soft』より、先行シングル“Underneath It All”をリリースしました。まず、イントロの迫力あふれる轟音サウンドを聴いて痺れました。より厚みを増したギター・サウンドと美しく流麗なメロディーが合わさった、壮大な一曲に仕上がっています。確実に進化を遂げている揺らぎの、渾身のアルバムを聴くのが楽しみです。タワーレコード オンラインにてアルバムの予約が可能ですので、気になった方はぜひ。