よりフレッシュに、よりジューシーに風味を増したPIGGSが覚悟のセカンド・アルバムを完成! 走って転んでも進む5人の情熱と決意はどこへ向かう?

 激動の続いた2021年、9月2日の〈不意打ちライヴ〉にて新メンバーのKINCHANをサプライズで顔見世し、怒涛の新生を遂げたPIGGS。KINCHANの100kmマラソンを敢行して11月からは〈DEAR HUNTER TOUR〉で全国を巡るなか、現在の彼女たちの魅力を濃縮還元したセカンド・アルバム『JUICYY』が完成。新年1月8日のツアー・ファイナル……というか、その先へ向かって絆を固める5人に話を訊きました。

PIGGS 『JUICYY』 プープーランド(2021)

 

大物の加入

――2021年を振り返っていかがですか。

CHIYO-P「メンバーが減って、4人の期間もあって、そこから新しいメンバーを迎え入れて。1年間の出来事ではない感じが凄いします(笑)。振り返るといろんなことあったけど、あっという間に過ぎ去っていった感じで」

――1年前の取材では、CHIYO-Pさんが実家が好きすぎるという話をされてましたね。

プー・ルイ「そうだよ、個人的トピックスじゃん」

CHIYO「そうだ! 私は同居を始めました。春の〈GREAT MUSCLE TOUR〉の企画があった流れでPIGGSハウスに住むことになって、そのなかでメンバー脱退があったので……人が抜けるって大きいことじゃないですか。それを経験して〈あっ、もっと自覚を持たなきゃいけないな〉ってめっちゃ感じて。いまはしっかりお部屋をいただいて住人になりました(笑)」

BAN-BAN「他のアーティストさんと5日間連続で対バンした自主イべント〈FAMILY BUTCHERS〉が印象深かったです。いろんなバンドさんとか、二丁目の魁カミングアウトさんやテンテンコさんとも対バンさせていただいたんですけど、皆さん音楽をめっちゃ楽しんでて、自分たちの音楽に凄く自信持ってる方たちだなって感じたし、一緒にやらせてもらったことでPIGGSの観せていきたいものも見えてきた企画でした。あと最終日はKINCHANのお披露目でもあったので」

――〈4人のPIGGS〉と〈5人のPIGGS〉が対バンする構成で。

BAN-BAN「そうです。私は4人の最後のライヴと5人の最初のライヴで気持ちが違って。〈ここからまた始まるんだな〉って思ったし、〈FAMILY BUTCHERS〉を通して見えてきたPIGGSの方向性に、KINCHANが入ったことで、より向かっていけるふうに感じたので、たくさん学びがあった5日間でした。凄く楽しかった」

SHELLME「私はちょっと個人的なんですけど、4人で回った最初で最後のツアーでMCをやらせてもらうことになった時に、〈自分が何を伝えたいのか〉〈いまの自分はどうして前向きになれてるのか〉とか考えて、初めてちゃんと自分と向き合う機会になったのが印象に残ってます。いまたくさんの人が自分のためにいろいろ言ってくださったりしてるけど、たぶんPIGGSになる前から同じように言ってくれてた人たちがたくさんいたのに、自分は全部それを跳ね除けて生きてきたんだな……って」

プー「新メンバーオーディションの3次審査と最終審査の間に、毎日報告メールを送るっていう審査があったんですよ。それでKINCHANのメールを見て号泣してたよね」

SHELL「そう、自分のダメさを喰らってたところにKINCHANのメールを見せてもらったら、自分のできてないことができてて、心がボコボコにされました。〈情けねえ!〉って(笑)。」

プー「〈1年やってるのに、入る前の子に負けた〉って言ってね」

SHELL「でも実際に読んで自分も心動かされちゃったんですよね。それって何より説得力があって。自分も報告メールはしてるんですけど〈ただ送っとるだけで満足しとったな〉って」

CHIYO-P
2月28日生まれ。北海道出身。ちびっこギャング担当。よく食べる

――オーディションの話に移りますが、そのメールも審査項目だったわけですね。

プー「はい。実はけっこう重要な審査で。最終候補に残った子はみんな魅力的だったので、最終審査までに〈内面をきちんと出せるかどうか〉〈人の心を動かせるものを持ってるのか〉っていう、PIGGSに合うか合わないかの部分が見たくて。で、本人はわかんないと思うけど、スタッフやメンバーから見ていちばん自分を出せてたのがKINCHANでした」

KINCHAN「う~ん、凄い過大評価されてるなって思っちゃいますね(笑)」

――オーディション過程は動画で公開されてる部分もありますが、改めて合格が決まった時はどんな心境でした?

KIN「ビックリして時が止まりました。でも嬉しい感情より不安が8割を占めちゃって。みんなが108回踊ったり1,000km歩いたりしてるのを私は一人のファンとして観ていたので、冷静に考えたらヤバイじゃないですか。そこに入ることを想像して、合格は嬉しいけど、すぐ不安でいっぱいになりました(笑)」

――いつ頃から〈一人のファン〉でしたか?

KIN「プーちゃんのことは2期のBiSから見ててたので、最初にグループを作る募集から知ってました。その時はお金がなくて、受けたかったけど行けなくて。で、PIGGSが出来た最初の頃はそんな観てなかったんですけど、〈ギュウ農フェス〉に出た映像を観て〈あっ、すっごいカッコイイ〉って思ってから追うようになって」

プー「夏の。2回目のライヴですね」

KIN「そこからライヴ映像とかMVをずっと観たり、徒歩ツアーの生配信も観てました。それでメンバーが辞められた時に、〈あっ、これは絶対オーディションがあるな〉って思って、今度は絶対に受けるって決めてたんです。なので、オーディションの告知があってすぐにメールしてました」

プー「うん、早かったです、来るの」

――そうやって結果的には合格して。

プー「合格を伝えて、そのままPIGGSハウスに連れてきて、お試しで3日間同居してみて。それが本当の意味での最終審査だったんですよ、実は。そこでどうしても合わない場合は難しいだろうし」

SHELL「3日も住んだらわかるもんね」

KIN「ちなみに5日間も泊まったよ」

CHIYO「大物ですよ、この子は(笑)。もともと新メンバーが入ったら私と相部屋って決まってたんですけど、家に来てすぐ〈どうしよう、緊張で寝れない〉みたいに言ってたのに、部屋入って〈じゃあ、おやすみ~〉ってなったら、すぐイビキかいて爆睡してて」

KIN「緊張して一睡もせずオーディションに行ったので、すぐ寝ちゃいまして(笑)」

プー「〈どうしよう、緊張で寝れない〉〈おやすみ〉〈ガーッ〉。ヤバっ(笑)」

CHIYO「やっぱりこういう子が選ばれるんだなって(笑)」

SHELL「〈コイツいいな〉ってなったよね」

KIN「やだよ、イビキでそんなこと思われるの!」

――いまも同じ部屋なんですね?

CHIYO「そうです。ちょっと見せられないぐらい汚くて。汚い部屋でも大丈夫な人だったから良かったです、お互いに」

KIN「アハハハハ」

――BAN-BANさんは一緒に生活してみていかがですか?

BAN-BAN「最初のほうはKINCHANはずっと鏡があるリビングでダンスの練習してて、私はコミュニケーションが苦手なぶん、ずっとリビングにいるようにして。そしたら振付けのこととか訊いてくれたりして、だんだん関係を深めていけたなって。ダンスとか歌の経験がないっていう共通点もあって、いちばん〈一緒にがんばろう〉ってなります。がんばる方向が近いというか、高め合えるというか」

プー「波長は合ってるよね。誤解がある言い方だけど、ケーキだとしたらSHELLMEとCHIYO-Pが生クリームとイチゴで、こっちの3人がスポンジ担当みたいな感じなのかなって。2人はダンスとか歌とか特技も見えやすいし、3人は芯っていうか内面の部分っていう」

CHIYO「うん。でもどっちもないとダメだから」

――自分がイチゴであることをすんなり受け入れましたね(笑)。

CHIYO「違う、違う、違う(笑)」

プー「そういうとこあんだよ(笑)。私らだってイチゴだぞ」

BAN-BAN「こういう感じで、いま凄くバランスが良いメンバーだと思います(笑)」

SHELL「みんなで補い合って」

――実際の活動面での変化は感じますか?

プー「観てる人の反応はちょっと変わったかも。いままで〈今年はこれをしたい〉〈武道館に行きたい〉とか言わない美学でやってきたんですけど、それを明言するようになって、そこに応援したくなる新メンバーが入ったことも相まって、ぶーちゃんズ(PIGGSファンの総称)の結束力も高まってきたように思います。5人になってから空気が少しずつ変化してきてるように感じます」

――夢を言っていく方針にした理由は?

プー「METTY(クリエイティヴ・ディレクター)やRyan.B(サウンド・プロデューサー)といろいろ話して、思いを伝えるよりもカッコイイ世界観を見せていく方向に舵を切った時期があったんですけど、私は何かしっくりこなくて。それで何を観せていきたいのか改めてチームで話し合って、やっぱりみんなプー・ルイの夢を叶えようっていうので集まってるから、私の歴史とか個々の素の人間味を出していくことになりました。私が中心っていう意味ではないんですけど、物語として私の10年間の負け続けの歴史っていうのはたぶん誰にも負けないものなので。誇れるもんではないですけど(笑)、そこはやっぱりPIGGSにとって大事なものだよねっていう結論になって、自分たちの夢とかを言っていくようになったんですよね」

――それがあって楽曲の作風も変わってきたわけですね。

プー「はい。それを踏まえて作ったのが今回の『JUICYY』なので、特に新曲は他に主人公を置かなくても、自分たちの思いを込めて歌えるものになりました」