あがた森魚のアルバム『デラックス雷蔵』が2022年3月2日(水)にリリースされる。

〈雷蔵〉は、あがた森魚、武川雅寛、OTOらが90年に結成したユニットだ。アラブ音楽やアルジェリアのライをはじめ、カリブ音楽なども含めたワールドミュージックの要素を取り入れ、1年3か月間活動を続けた。91年2月に、サリフ・ケイタのバンドメンバーであるブリス・ワッシーをゲストに迎え、唯一のアルバム『雷蔵参上』をメルダックから発表。現在、アニメソングやゲーム音楽などで人気のミュージシャン、e-ZUKAこと飯塚昌明が最初に参加したバンドでもある。

今回リリースされる『デラックス雷蔵』は、91年版の『雷蔵参上』をリマスタリングしたものをディスク1に、91年3月に行われた東京・渋谷CLUB QUATTROでのライブ録音をエンジニアの藤井暁がミックスした完全未発表のテープをCD化したものをディスク2に収めた、2枚組のデラックスエディションだ。

リリースのアナウンスと同時に、『デラックス雷蔵』のトレーラーが公開された。

以下、プレスリリースに掲載された各曲の解説を引用する。

エキゾチックなヴァイオリンから始まる「ふらむきりんの校庭」は西アフリカのリズムやアルジェリアのライとファンキーなベースが重層的に。CD2のライヴではさらにパーカッシヴな音をフィーチャー。「Song Cycling」はマルチニーク島の音楽ビギンで見られるストリングス風キーボードとラテン風のギターソロもフィーチャー。「月食」はインドネシアのクロンチョン的な弦楽器の演奏からはじまり後半ではブラスとノイジーなギターでリズムを変えていく。ライヴではタブラーを用いハワイや沖縄音楽をも感じる作り。ブラジルの弓ビリンバウから始まる「風の光る朝」にはレゲエ/カリプソ的なリズムが応用され、アラブ風のヴァイオリンに導かれサイケなファンクナンバー「TAMIYA 2」には、ラテンやアラブ風リズムに交えフラメンコギターも。どこか東洋的な「雪割草と青い麦藁」は“どこでもない”感が漂い、「時間の終る時~孔雀と緬羊」ではカリブ海風の演奏がコンガソロを挟みアジア風に変わる。

CD2では『雷蔵参上』 収録の5曲以外に4曲、「太陽のラルティーグ」はオリジナル版とは異なりリズミカルなアレンジ、「骨」は、オリジナル版のアフロビートではなくボ・ディドリー・ビートで。今回初出の未発表曲「面影はハマシーム」ポップなサルサ調。そしてライのソリッドなイントロで始まる文部省唱歌「星の界」に続く。

なお、ディスク2に収録される、今回初出の“面影はハマシーム”は、90年に予定されていた加藤和彦プロデュースのソロアルバムのために提供された、加藤が作曲したものだ。

また、『デラックス雷蔵』は、あがた森魚のメジャーデビューから50周年を記念した〈あがた森魚の50周年アーカイヴ・シリーズ〉の第1弾となっている。

30年を経てよみがえる、唯一無二の雷蔵の音楽。OTOいわく〈宇宙に呼応したグルーヴ〉を未体験の方は、ぜひこの機会に聴いてほしい。

 


RELEASE INFORMATION

あがた森魚 『デラックス雷蔵』 SUPER FUJI(2022)

リリース日:2022年3月2日(水)
品番:FJSP454
仕様:2枚組CD
価格:3,905円(税込)

TRACKLIST
CD 1『雷蔵参上』2022最新リマスタリング
1. ふらむきりんの校庭
2. Song Cycling(らっきゃらっきゃさ)
3. 月食
4. 風の光る朝
5. TAMIYA2(田宮二郎の純情)
6. 雪割草と青い麦藁
7. 時間の終る時~孔雀と緬羊

CD 2『雷蔵 ライブ Mar. 1, 1991』
1. Song Cycling(らっきゃらっきゃさ)
2. 太陽のラルティーグ
3. 面影はハマシーム
4. TAMIYA2(田宮二郎の純情)~骨
5. 星の界
6. ふらむきりんの校庭
7. 月食
8. 時間の終る時~孔雀と緬羊

■CD 1『雷蔵参上』
もりおA.るもいの:VOCAL[M1-7]/CHORUS[M7]
夏秋冬春:DRUMS[M1-6]/UKULELE[M3]/STICK RHYTHM[M7]
加勢田匡人:BASS[M 1, 2, 4-6]/MANDOLIN[M3]
藤井裕:BASS[M3, 7]/CHORUS[M2, 4]
丸尾めぐみ:KEYBOARD[M1-7]/CHORUS[M1-4, 6, 7]
飯塚昌明:GUITAR[M1-7]/MANDOLIN[M3]/CHORUS[M1, 2, 7]/HAND CLAP[M7]
OTO:GUITAR[M1, 2, 4, 6]/MANDOLIN[M3]/KEYBOARD[M5]/SPANISH CASTANET[M7]/SORALIZATI ON VOICE[M5]/CHORUS[M1, 2, 4, 6, 7]/HAND CLAP[M7]/STICK RHYTHM[M7]
武川雅寬:VIOLIN[M1-5]/TRUMPET[M6]/CHORUS[M1, 2, 6]
三沢またろう:PERCUSSION[M1-7]

[Guest Musicians]
Bris Wassy:DRUMS, PERCUSSION, STICK RHYTHM[M7]
梯郁夫:TABLA[M3]/DARBOUKA[M5]
村田陽一:TROMBONE[M1, 3, 7]
エリック宮城:TRUMPET[M1, 3, 7]
山本拓夫:TENOR SAXOPHONE[M1, 7]
篠田昌已:BARITONE SAXOPHONE[M3]
和田博巳:MANDOLIN[M3]/CHORUS[M2, 7]
福富幸宏:MANIPULATE[M3, 5]
KOBO & UNO:VOICE[M2]
Zaharr A. Hayatti:HAND CLAP, FINGER CYMBALS & ZHAGHAREET[M5]
高橋俊男:STICK RHYTHM[M7]

CD 2『雷蔵 ライブ Mar. 1, 1991』
1991年3月1日〈「雷蔵」若武者音楽修行〉東京・渋谷CLUB QUATTRO
録音・ミックス:藤井暁

あがた森魚:VOCAL
OTO:GUITAR
飯塚昌明:GUITAR
武川雅寛:VIOLIN
加勢田匡人:BASS
丸尾めぐみ:KEYBOARD
夏秋冬春:DRUMS
三沢またろう:PERCUSSION
三沢泉:PERCUSSION

 


PROFILE: あがた森魚
ボブ・ディランと早川義夫に衝撃を受け作詞作曲を始め、70年、鈴木慶一と出会いバンドを結成。その〈あがた森魚と蜂蜜ぱい〉で71年、〈中津川フォークジャンボリー〉や〈春一番コンサート〉に参加。そこでキングレコードの三浦光紀にスカウトされ、ベルウッドの第1弾アーティストとして72年にメジャーデビュー。そのシングル“赤色エレジー”は50万枚の大ヒット。70年代は『乙女の儚夢』、『噫無情』(松本隆プロデュース)、『日本少年』(細野晴臣プロデュース)と名作アルバムを立て続けに発表。80年代は突如テクノポップに挑戦した怪作『乗物図鑑』から始まり、ヴァージンVSを結成、TVアニメ「うる星やつら」のエンディング曲“星空サイクリング”を発表するなどの活躍をした。87年にはタンゴブームに先駆けた『バンドネオンの豹』からワールドミュージックへ音楽性を広げ、90年、それを具現化した雷蔵を結成。21世紀以降、現在に至るまでほぼ毎年オリジナルアルバムを発表し続け、約50タイトルのアルバムを残し、74歳の今なおライブを続けている。