これぞ〈ポンタ節〉! 激アツのドラミングが炸裂する、村上“PONTA”秀一の追悼盤
ジャンルを超えて日本の音楽シーンに〈トップ・ドラマー〉として君臨し、数々の名曲・名演を生み出してきた巨星、村上“ポンタ”秀一さん。2021年3月9日に天に召されてからちょうど1年となる2022年3月9日に発売される追悼盤が本作、大村憲司バンドによる『ポンタ・セッション!』です。〈場数王〉と称されるポンタさんですから、未だ発表されていない音源は、掘っていけば無数にあるのでしょうが、故・大村憲司さんとの共演となれば、ポンタさんご自身にとっても特別な音であったはずです。1989年12月27日から30日にかけて、ポンタさんがホストを務めた神戸チキンジョージにて開催のライヴ、〈PONTA SESSION 4 DAYS!〉から、29と30日の両日が大村憲司BANDの演奏(当時のチキンジョージのスケジュール表記より/ちなみに27と28日はNOBU CAINE)で、そこからの選りすぐりの8曲が収録されています。実はそのうちの4曲は、〈大村憲司ベスト・ライヴ・トラックス・シリーズ〉として、すでに発表されていたりしますが、4曲はまったくの未発表。全編を通して、息遣いまでも感じられる激アツのポンタさんのドラミングが素晴らしいです。
1989年、世界の音楽はフュージョンの席巻を経て、ミュージシャンのポテンシャルが楽曲・演奏の完成度に直結していた時代。スティーヴ・ガッドに〈ガッド節〉があり、ジェフ・ポーカロに〈ポーカロ節〉があったように、ポンタさんならではというか、ポンタさんでしか出せないグルーヴ、スウィング、そしてあの〈間〉……まぎれもない〈ポンタ節〉の存在を実感できます。全編、キレッキレの演奏。ドラム・サウンドもタイトで、カラフルで、ピュンピュンいわすエレドラ(シモンズでしょうか?)もあり、心地よくアグレッシヴで、とにかくご機嫌です。とてつもなく大きなリズムの中に、細かい音符がたくさん流れていて、いろいろ聴いていくと、すべてが巨大。あらためて、その存在のデカさを痛感する音に溢れています。