2019年のデビュー・アルバムが英米のメディアに歓迎されたロンドンのトルコ系女性シンガー・ソングライター、ニルファー・ヤンヤによるセカンド・アルバム。冒頭で鳴るコーラスを掛けたアコースティック・ギターのコード・ストロークにヤラれる人は少なくないはずだ。その音色をはじめ、80年代のUKニューウェイヴやネアオコを思わせる曲の数々がヴィジュアルからの先入観をあっさりと打ち破る。トラックメイキングなんて言葉も連想させる今風のポップソングも交えながら、彼女が我々に味わわせるのはタイトルとは裏腹にメランコリーなのだが、その深い陰影の中にチャーミングなメロディーを閃かせるところが彼女の才能なのだろう。甘口すぎない、ちょっとぶっきらぼうな歌声も耳に心地いい。