livetune流儀でシンガー勢の個性を表現した12の〈と〉

クラムボン 『LOVER ALBUM 2』 コロムビア(2013)

歌そのものが持つ魔法のような力と、人との繋がりをテーマとする“ファンタジア”は、まるで〈と〉の連なりから成る本作を象徴するよう。そんなオープニングに相応しく、突き抜けたハレのムードを纏う歌声で〈魔法〉を体現するのは原田郁子(クラムボン)だ。

 

SEKAI NO OWARI 『炎と森のカーニバル』 トイズファクトリー(2014)

livetuneらしい爽快なダンス・トラックに仕上がった“Take Your Way”。主張の強すぎない柔和なタッチのビートと遠雷のように鳴り響くギターが楽曲に奥行きを与えており、広大な空を駆け抜けるようなFukaseの少年ヴォイスとよくマッチしている。

 

moumoon 『I’m Scarlet』 avex trax(2014)

宝石のカッティングを思わせる精巧かつクールな音作りが特色と言えるlivetuneだが、なかでもmoumoonのYUKAが歌う“Dear You”の美しさは格別。オーロラのように重ねられたシンセと、ピカピカに磨き上げられた清涼感いっぱいの声が降り注ぐ光景たるや!

 

Yuuki Ozaki (from Galileo Galilei) 『Trigger』 ソニー(2014)

本作で菅野よう子との邂逅も果たしたGalileo Galileiのフロントマンが歌う“FLAT”は、乱高下を繰り返すド派手なメロディーがテンポ良く駆け抜けていくスタイリッシュなアップ! 尾崎の柔らかで少し憂いのある雰囲気がこれまた男前で……。 

 

9mm Parabellum Bullet 『Greatest Hits』 ユニバーサル(2014)

まるで生き急ぐかの如き猪突猛進なビートに圧倒されるロック・チューン“千の翼”には、9mmから菅原卓郎が参戦。男の色気が立ち昇るその歌唱に滝善充のバーストしまくるギターも加わって、livetune史上もっともワイルドなナンバーになったのでは? 

 

中島愛 『Thank You』 flying DOG(2014)

〈adding〉シリーズの端緒を開いたまめぐとの“Transfer”は、先にラスマス・フェイバーとのタッグでハウシーな打ち込みに挑戦していた彼女の魅力を、より急進的なスクエア・ビートで開花させた傑作アップ。恋しさと切なさの加速する感じが最高! 

 

やのあんな 『Shape My Story』 ポニーキャニオン(2013)

kzプロデュースのシングルで歌手デビューした読者モデル出身の彼女。ちょっとロリっ気のある甘酸っぱい歌声は、エレクトリカルパレードを思わせるファニーな賑々しさが楽しい“オール・オーヴァー”でも軽やかにステップを踏んでいる。

 

三森すずこ 『せいいっぱい、つたえたい!』 ポニーキャニオン(2014)

声優のみもりんとは、彼女の元気いっぱいなキャラクターとクセのないピュアな歌声を活かした“High And Loud”でストレートに勝負! 躍動感を押し上げる鋭角的なストリングスと細かに散りばめられたドラムン風の打ち込みがアッパーに絡み合う良曲だ。

 

Yun*chi 『Starlight*』 クラウン(2014)

どことなく和風なシンセ・フレーズで幕を開ける“Sign”は、kzとは何度もコンビを組んでいるYun*chiがソロ・デビュー直前に吹き込んだもの。その倍音成分高めな七色の歌声も手伝って、恋に一途な女の子のキラメキが集約されたような一曲に。 

 

ゴールデンボンバー 『ローラの傷だらけ』 Zany Zap(2014)

金爆の鬼龍院翔を迎えた“大好きなヒトだカラ”は、彼の歌謡性とエンタメ精神を泣き節全開のメロで引き出したバラード。ハッピーエンドと思いきや悲しいオチが付く歌詞をkzと共作したSafariiのAkira Sunsetは、乃木坂46仕事でも知られる人物。

 

DWB feat. ニルギリス 『SHINY SHINY』 AMG(2011)

基本、歌以外の部分はkzが制作する〈adding〉シリーズにおいて、アンセミックな昂揚感が凄まじい“Dreaming Shout”を共作したのが、間もなくその活動にピリオドを打つニルギリス。頂点に向けてスパイラルしていく曲展開と岩田アッチュの弾けた歌唱が実に彼ららしい。

 

Q;indivi starring Rin Oikawa 『Celebration ~ジブリ・ソングス and More~』 Q;cd(2013)

リリカルなピアノがリードする美しくも儚げなスロウ・ナンバー“Each and All”でヴォーカルを取るのは、Q;indiviなどで活躍するRin Oikawa。飴細工のように繊細な歌声が、さまざまな個性が一堂に会したパーティーをしっとりと締め括る。