代表曲“sakura”(2006年)にてマッシュアップという手法を前面に打ち出すなど、ダンス・ミュージックの要素も採り入れた風通しの良いポップソングで支持を集めてきたニルギリス。シーンに囚われない飄々とした活動もあって、純粋に自分たちが思う新しい音楽を追求し、自身をアップデートしてきたバンドという印象が強い。そんな彼らが今回の新作『チュクリ』をもって〈メンバー全員脱退〉することを発表。だが、近年接点を強めていたネット界隈の人脈と積極的にコラボすることで、感傷とは無縁の過去最高に踊れる作品となったのだからたまらない。

ニルギリス チュクリ ビクター(2014)

 Marginal Rec.に所属するakinyan electroを愛棒ならぬ相棒に迎えたメイクラヴ賛歌“Love Stick”でのズルムケっぷりを筆頭に、重々しいハーフステップからサビでの超加速が快感を呼ぶPandaBoYとの賑やかなコロッケ・ソング“Croquette”、DJ'TEKINA//SOMETHINGと共作した、トランシーな4つ打ちと子供たちとの掛け合いが理屈抜きに楽しい“WALK”など、EDMのスタイルをニルギリス流に噛み砕いたキャッチーな楽曲が目白押し。Pa's Lam Systemらしいファニーな2ステップに乗せてメンヘラ・ガールの気持ちを歌った“Men Healer Girl”なんて最高すぎる! それらとシームレスに繋がる、時間の経過を感じさせない過去の代表作を網羅した初の〈シングル・コレクション〉もDisc-2として搭載し、とことんフレッシュでダンサブルなポップスを詰め込んだ本作。さあ、ラスト・ダンスを踊る準備はOK?

 

▼ニルギリスのメンバーの近年の外部参加作品

左から、2012年のコンピ『TVアニメ 未来日記 INSPIRED ALBUM Vol.2 因果律デシベル』、寺島拓篤の2013年のシングル“スターテイル”、ChouChoの2013年作『secretgarden』(すべてランティス)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ