Photo by 廣⽥達也

Mai Mishio with Goodfellasの7インチシングルレコード『⽔曜⽇ Wednesday/永い瞬間 Eternity As An Instant』が2022年5⽉8⽇(⽇)にリリースされる。

シンガーソングライターの⾒汐⿇⾐が中⼼になって結成したバンド〈Mai Mishio with Goodfellas〉。彼らの7インチシングルレコード『⽔曜⽇ Wednesday/永い瞬間 Eternity As An Instant』が、新レーベル〈Lemon House Inc.〉からリリースされる。

『⽔曜⽇ Wednesday/永い瞬間 Eternity As An Instant』は、VIDEOTAPEMUSICの名曲を極上のアレンジでカバーした〈見汐麻衣 with Goodfellas〉名義の前作『August mood/さようなら、さよなら If you say so, good bye』(2019年)から約3年ぶりの新作だ。

新曲2曲を収録した本作には、A面に仲間たちとスケートボードに夢中になっていた⽔曜⽇の情景から⽣まれたという“⽔曜⽇ Wednesday”を、B面にこの2年間の⽣活のなかで⾔葉の落ち穂拾いを続けて完成したという“永い瞬間 Eternity As An Instant”が収録されている。〈当時〉と〈今〉を繋ぐ2曲が収録された作品になっている。

『⽔曜⽇ Wednesday/永い瞬間 Eternity As An Instant』のアートワークは、元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎が担当した。坂本が、夜が明けるまでのグラデーションによるイラストを3枚描き下ろし、曲の情景を体現した3種類のジャケットになっている。

見汐麻衣のセルフライナーノーツは次のとおり。

2020年の始まり。
未曾有の事態が訪れ決まっていたライブの殆どが中⽌になり、家から出ることも億劫で、⾃宅でアルバム制作に向け新曲を作ることに専念しようとDEMO⾳源を聴き直していたら2010年に完成していた「⽔曜⽇」という曲が出てきた。
この曲は当時結成していたバンド、埋⽕(うずみび)で作品にすることもなく、ソロライブで何度か披露していた曲で、現在のメンバーで演奏したならどういった感じになるだろうかと思い⽴ち、スタジオに⼊ることにした。

2010年当時、私はスケートボードに夢中で、毎週⽔曜⽇23時から明け⽅までの数時間、住宅街から離れた広場に出向き友⼈達と練習していた。
トリックには興味がなかった。ウィールをソフトに変え、ひたすらプッシュを繰り返す中で⾝体が⽕照り軽くなっていく感覚が好きだった。友⼈達の中で⼀番下⼿だった私は、みんなが⽔を得た⿂の様に⾃由にすべっていく背中を最後尾から眺めること、⿐腔を広げ、深夜から明け⽅の時間帯にだけ漂う空気の匂いを⽬⼀杯嗅ぐこと、街が動き出す前の静閑な気配が⽀配する束の間全てが好きだった。

当時の光景は記憶となって頭の⽚隅に残り、それを曲にしたまま放っておいたのだが、アレンジが施されていく中で、記憶は眺めのいい⾵景へと変容していった。
記憶の中に残った光景から光を奪うことによって炙り出されたものが作品となり得ることもあるのだと知った。この曲はこれまでの作品と異なる感じにできないかと思い、ミックスの段階で細かい要望は極⼒出さず、エンジニアの⽅に全て任せることにした。後⽇、仕上がった⾳はオブスキュア感のあるミックスに仕上がっていた。
⼀聴したとき、みんなが⽔を得た⿂の様に⾃由にすべっていく背中を最後尾から眺めていたこと、⿐腔を広げ、深夜から明け⽅の時間帯にだけ漂う空気の匂いを⽬⼀杯嗅いでいたこと、街が動き出す前の静閑な気配が⽀配する束の間が好きだったこと、それら全てを含む時間の〈層〉が曲の中で具現化されていた。曲⾃体にも記憶は宿るのかもしれないと思った。

2012年、ある雑誌で尊敬する⾳楽家と対談した際、その⼈が「歌詞を書くことは落ち穂拾いに似ている」と仰っていた。その⾔葉に⼼底共感していた。当時から歌いたいことなど何もなかったけれど、歌にしておきたいと考える物事は沢⼭あった。コロナ禍の⽇々を過ごしながら沢⼭のメロディが出来たものの、歌える⾔葉は⾒つからないままだった。落ち穂拾いを続けながら暗い⾔葉ばかりを無意識に選んでしまっていた2年間。これまでの時間とひとまずおさらばできそうな曲「永い瞬間」が完成した時、アルバムよりも先ずはこの2曲でシングルを出したいと思った。

⽣活の中で⾒聞きし、感じてきた物事や⽬にする光景が個⼈の中で眺めのいい⾵景に変わるまでいくばくの時間を要するのか、⼈それぞれだと思うけれど〈懐かしい〉という⾔葉に変換される⼿前で⽴ち往⽣する記憶や光景を、経てきた時間の〈層〉と共に⾳楽という⾵呂敷で包めたら……と考えながら、今回3年振りのシングルが完成しました。どうぞよしなに、ご贔屓に!

さらに、『⽔曜⽇ Wednesday/永い瞬間 Eternity As An Instant』のリリースにあわせて、⾒汐⿇⾐のソロやバンドセットでのライブが全国で開催される予定だ。詳細は下記に。

 


RELEASE INFORMATION

Mai Mishio with Goodfellas 『⽔曜⽇ Wednesday/永い瞬間 Eternity As An Instant』 Lemon House Inc.(2022)

リリース⽇︓2022年5⽉8⽇(⽇)
品番︓HR7S239
価格︓1,980円(税込)

TRACKLIST
SIDE A: ⽔曜⽇ Wednesday[4:03]
SIDE B: 永い瞬間 Eternity As An Instant[3:52]

■メンバー
見汐麻衣(ボーカル/エレクトリックギター)/池部幸太 a.k.a 墓場戯太郎(ベース)/坂口光央(キーボード/シンセサイザー)/光永渉(ドラムス)

作詞/作曲︓⾒汐⿇⾐
アレンジ︓Mai Mishio with Goodfellas
録⾳/ミックス︓林⾕英昭(七針)
マスタリング︓中村宗⼀郎(Peace Music)
アートワーク︓坂本慎太郎(zelone records)
デザイン︓⼭﨑なし

 

LIVE INFORMATION

■⾒汐⿇⾐(ソロ)
2022年4⽉19⽇(⽕)東京・東高円寺 U.F.O.CLUB(w/⼭本精⼀)
2022年5⽉20⽇(⾦)京都・木屋町 ミングル(ワンマン)
2022年5⽉21⽇(⼟)⼤阪・天満宮 音凪 音食堂酒場(w/bikke(ex-Lovejoy))

■Mai Mishio with Goodfellas(バンドセット)
2022年6⽉8⽇(⽔)東京・代官⼭ 晴れたら空に⾖まいて

 


PROFILE: ⾒汐⿇⾐
歌⼿/ミュージシャン。サイケデリックロックバンド〈埋⽕(うずみび)〉のボーカリスト/ギタリストとして活動を開始。『恋に関するいくつかのフィルム』『わたしのふね』『ジオラマ』をリリース。mmmとのデュオ〈アニス&ラカンカ〉としてフルアルバム『Aniss and Lacanca with Chill Hearts』と7インチシングルをリリース。MO’SOME TONEBENDERの百々和宏のソロプロジェクト〈百々和宏とテープエコーズ〉、⽯原洋 with Friendsに参加。埋⽕の解散後、サウンドプロデュースに⽯原洋、エンジニアに中村宗⼀郎を迎え、ソロプロジェクト〈MANNERS〉でミニアルバム『Facies』をリリース。⾒汐⿇⾐として初のフルアルバム『うそつきミシオ』、⾃主制作で『ひきがたり』シリーズ5作を発表している。近年、塚本真⼀とのデュオでの演奏も⾏っており、平岡精⼆の楽曲をカバーする企画を開催。⾒汐⿇⾐を中⼼としたバンドセット〈Mai Mishio with Goodfellas〉名義では、VIDEOTAPEMUSICの楽曲をリアレンジした2曲⼊りの7インチシングル『August mood/さようなら、さよなら If you say so,good bye』をリリース。2022年春、新作7インチシングル『⽔曜⽇ Wednesday/永い瞬間 Eternity As An Instant』をリリース。映画・演劇・CMへの楽曲提供、エッセイ・コラムなどの執筆も⾏う。