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【見汐麻衣の死ぬまで生きよう!】第四回 〈他人との距離感がわからない〉という相談に応えます

【見汐麻衣の死ぬまで生きよう!】第四回 〈他人との距離感がわからない〉という相談に応えます

Mikikiをご覧の皆様、ご無沙汰しております。第4回目の今日は93年、横浜生まれのシンガーソングライター、マーライオンさんからのお悩みに応えました。対談自体は2021年4月に行ったので、そこから随分時間が経過しておりますが、改めて読み返しながら〈人間をやっていく〉ということは本当に修行のような日々の積み重ねだな……と地味に感じ入り、マーライオンさんも7ヶ月前とは違う悲喜交交を感じながら暮らしておられることだろうと思います。色々あるけど生きていかなきゃならない中で、皆様のお茶のお供になれば幸いです。

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他人との距離感がわからない

マーライオン「実は、悩みが……あんまりなくて」

見汐麻衣「ないんかい(笑)!」

マーライオン「いや、あるんですけど(笑)。人との距離の詰め方は、どういう感じが適切かと悩んでいて。

見汐さんって、曲もそうなんですけど、絶妙な距離感を保ちながら、すごく滑らかに人と接して生きていらっしゃるなって思うんです。共演をさせていただいて、その時に会話した感じとかで、憧れを含めてそう思っています。僕、あの〈お寿司の日記〉の読者なんですよ」

※ブログ〈続・寿司日記〉〈寿司日乗〉のこと

見汐「ありがとうございます」

マーライオン「JET SETのサイトでも連載をやっていましたよね」

見汐「〈四都物語〉ですね」

マーライオン「すごく好きでした。そういうものを読んでいても、接する人みんなにすごくフラットで平等なところがあると思って。見汐さんは、嫌いな人には〈嫌いだ〉って言うじゃないですか」

見汐「嫌いというより、どうしても嫌だなと思ったら言う感じかな」

マーライオン「僕は、その辺をなあなあにしがちなんですよ」

見汐「その方が、処世術としてはいいと思いますよ。敵も作らないですし」

マーライオン「でも、それが難しくて。もちろん、よくないものを〈いい〉とは言わないんですけど。はぐらかしたりするのが苦手なんです。そんなに器用な方じゃないので」

見汐「それでよくないですか?」

マーライオン「そうですか? 日々、もうちょっと上手くできるだろうって思っているんですよ」

見汐「私がマーライオンさんと同じ年齢だった頃は、同じだったと思います。単純に、経験値の問題なのかなと。人様とコミュニケーションを取ることと、あと場数。現場を踏んだ回数とか、そういう要因だけの問題な気がします。私はマーライオンさんよりもちょっと長く生きているだけであって、きっとあなたと同じくらいの年の時は、私もそうだった。どうしていいか、わからなかったと思う」

マーライオン「僕は、いきなり人との距離を詰めちゃったり、離れすぎちゃったり、極端なんです。定期的に仲が悪くなっちゃう人がいたりとか。別に大きな喧嘩をするわけじゃないんですけど、僕としてはもうちょっと緩く仲良くあり続けたいんです。

その辺りが、見汐さんは上手いと思います。かっこよくて、颯爽としていて、気持ちがいいんですよね。そういうところが、普段もそうですし、音楽や書かれるものにも出ているので、素敵だなって」

見汐「ありがとうございます。そんな風に受け止められているんですね。勉強になります。自分のやり方で、その方法を見つけたいっていうことですか?」

マーライオン「そうですね。僕が軸にしている考え方としては、どの人にも誠実に接したいなって思うんですけど、空回っちゃう瞬間がよくあって」

見汐「でもね、私がそうであるように、そういうのは本人にはわからないものだったりするんですよね。今日ね、ここに来る前にずっと考えていたの。〈距離感〉って、私は考えたことがないんですよね。たぶん、本当に持って生まれたものなんだと思います、としか言えない。自分で〈これはこうだから、ああだから〉なんて、あまり考えたことはないんですよ。

ただ、一つ言えることがあるとすれば、ちっちゃい時から家が客商売をやっていたから、それをよく見ていたし、店にもよくいたから――人がいっぱい来るでしょう、お店って。特に、うちはスナックで水商売だったからさ、お客さんとの接し方は小さい時から嫌というほど見てきたので、もしかしたら、そういうのが自分の言動や身のこなし方、所作に影響があるんだろうなと思うけど、深く考えたことって本当に一度もないんです。

もう一つ言えることがあるとすれば、〈自意識〉ってものをある時から捨てたんですね」

マーライオン「〈ある時〉っていうのは……?」

見汐「それはね、25歳くらいの時。それはすごく覚えてる。〈自分がどう見られたい〉とか、〈こういうことを言ったら嫌われるかもしれない〉とか、〈この人に注目されたい〉とか、〈もっと自分を見てほしい〉とか、そういう気持ちが、私は他人よりも強いティーンエイジャーだったんですよ。若い頃にはありがちなことかもしれないけど、それでも強い方だったと思う。ただ、それが、自分が何かをやる時に、足かせになっているって気付いて、25歳くらいの時に〈もうそういうのはやめよう〉と思ったのを覚えています。

だから、人との距離感を上手く取れないというのは、もしかしたら自意識を客観視できていない、という原因があるのかもしれないですね。いや、わからないですよ。これは、自分がそうだったっていうだけなので。

例えば、すごく好きな人が目の前にいた時に、上手に話したいんだけど話せないから、ちょっと変な態度を取ってみるとか、そういうことが私は多かったんですよ。(その人に自分を)見てほしいじゃない? 自分からはそう言いたくないんだけど、〈私はここにいます〉っていうのをわかってほしいという気持ちが強かった。でも、そういう思いがなくなったら、どうでもよくなりましたね。もちろん、徐々にだったでしょうけど」

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