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鮫肌文殊

7インチの魅力、7インチへのこだわり

――お二人でDJされるときにこれらのモーニング娘。の曲はやはり一定の支持があるんですか?

鮫肌「モーニング娘。だけでなく、80年代とか90年代のテレビから出たヒット曲は僕らの世代の人たちはみんな知っているので、イベントではやっぱり盛り上がりますよね。DJでも誰も知らないけどキラーな曲をかけて盛り上げるパターンもあれば、みんなが知ってる曲で盛り上がるパターンもあるじゃないですか。これは後者のときの選曲ですよね」

“恋のダンスサイト”

――7インチが欲しかったというお話がありましたが、このフォーマットで出すことへのこだわりはありますか?

鮫肌「これは簡単な話で、12インチとかLPは持ち歩くときに嵩張るんですよね」

――持っていくのが大変(笑)。

鮫肌「重いし嵩張るしで。なのにアルバムのなかに1曲しかかけたいのがないという」

中野「5~6年前くらいに7インチのブームがきたんですよね。小西康陽さんがもう7インチしかかけなくなったり。みんなが7インチでDJをやるというブームがあって、いまは落ち着いているんですけど。やっぱりLPのなかの1曲よりは回転数も速くて音圧も全然違いますし、持ち運びも便利だし。あとは1曲の所有感もありますよね」

鮫肌「音圧も強いからね。かけたときにパーンというインパクトがありますよね」

――ちなみにですが、お二人が掘ってきたものやイベントでかけてきたマニアックな音源などをリイシューするアイデアは挙がっているのでしょうか?

中野「それはもちろん。たくさん挙がってますよ」

鮫肌「再発って先方がイエスを言ってくれないとできないものなので。このプロジェクトが始まってタワーレコードさんに尽力していただいたんですが、ノーと言われたのも多々あります。今回は奇跡的につんく♂さんにイエスと言っていただいて決まった感じです」

中野「あとは、売れるかどうかというのももちろんありますよね。マイナー過ぎて誰も知らない、一部の人だけが知っているようなものがどこまで売れるのかっていうのも放送作家として気にしますね」

鮫肌「僕とか中野はよくレコード屋に行くんですけど、最近はアナログの再発ブームで、例えば〈RECORD STORE DAY〉みたいな特別な日に色んなものが再発されてますよね。でも、結構店頭で余っていたりするんですよ。ダブついちゃってるのを目の当たりにしていると、さすがにタワーレコードさんで再発させていただくときに売れないものを出すのはどうなんだ、というのもありました」

中野「ああいった再発も、最初のうちは早く買っておかないとなくなっちゃうと思ってたけど、最近は普通に買えますもんね。レコードブームではあるけど、それは本当に一部なんだなと。そこのパイを広げないと売れないだろうから」

鮫肌「その意味でモーニング娘。は裾野が広いですよね。DJも欲しがるし、ファンの方もコレクションしておきたいというのもあるでしょうし。広い層の購買のきっかけになるかなという放送作家的な思惑などもあってのこの3枚ではありますね」

 

多くの名曲を生んだ「ウリナリ」

――お話を聞くほどに第1弾リリースとしては最適解だなと感じます。しかし、ほかに挙がっていたのも気になります。

鮫肌「88年から90年くらいにアナログとCDの端境期(はざかいき)がありまして。その当時、一般にはCDでしかリリースされなかったけど、有線だけに配っていたプロモ盤がありまして。そういうところにお宝が眠ってたりするんですよね。プロのDJのみなさんはそういうプレミアがついたものを集めたりしていて、自分のプレイでかけて盛り上げたりするんです。

そういったプロモ盤にしかないようなものも挙げてみたんですけど、やっぱりなかなか先方の許可が下りないですね。これからもっと交渉して、再発できればいいかなと思っているんですけどね」

中野「あとは今回のモー娘。の再発と同じ考え方だと、『ウリナリ』(『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』)のポケットビスケッツの“YELLOW YELLOW HAPPY”とか、ブラックビスケッツの“Timing”とか。あのへんもレコードがないので。(“Timing”は)いまはカバーがTikTokで大ヒットしていますし、あのあたりが再発できると楽しいですよね」

鮫肌「これを読んだポケビやブラビの権利関係者の方にはぜひ、うんと言ってほしいです(笑)」

Klang Rulerの2021年のシングル“タイミング 〜Timing〜”。ブラックビスケッツのカバー

――ブラックビスケッツはどれもファンキーですもんね。

鮫肌「“Timing”は大名曲ですし、ほんと『ウリナリ』は名曲が多いんですよね」

中野「作曲がパッパラー河合さん、中西圭三さんだもんね。そういったテレビ系のものを王道としたら、それ以外の邪道というか、マイナーなものも出していけたらいいですよね」