タワーレコード代表取締役社長・嶺脇育夫にひたすら好きなアイドルについて語ってもらう(不定期)連載。社長がひたすらに愛を傾けるさくら学院について熱弁を振るった渾身の初回が非常に好評をいただいていることに気を良くしたわれわれ、今回は社長が15年に渡って見続けている名門のハロー!プロジェクトについて訊いてまいりました! ハロプロ愛の歴史から、注目すべき研修生たちに巻き起こるドラマなど、奥深いハロプロの世界を教えてもらい、今回も流石の説得力に……お楽しみください!

 

 

――さくら学院へのピュアな父兄心が露わになった初回が非常に好評だったので、今回はやはりハロー!プロジェクトについて訊きたいなと思って来ました。いまさらかと思いますが、ハロプロのそもそものところから……。

「そこから行く? ハロプロ知らない人いる?」

――あ、言い方を誤りました。ハロプロの紹介ではなく、嶺脇さんがハロプロにハマるようになったきっかけを教えてください!

「ハロプロが気になりだしたのは、2000年ぐらいかな? タワーレコード新宿店の店長だった時代に、何人かのスタッフにハロヲタがいて、〈いいですよ〉っていうのはずっと聞かされてて。でも〈アイドル? ケッ!〉みたいな感じだったのよ」

――最初はそんな感じだったんですね。

「そのとき僕はハンク・ウィリアムズとかマール・ハガード、ジョージ・ジョーンズといったいわゆるカントリー系にハマってた時代で。ただ、99年にモーニング娘。の“LOVEマシーン”がヒットしたりして、たぶんどっかで気になってたんだろうね、たまたま仕事が終わって疲れて家に帰って、確か金曜日だったと思うんだけど家でビール呑みながらTVを観てたの。そのときにちょうどモーニング娘。が映ってて、〈あれ? あの娘可愛くない?〉ってなったのが辻(希美)ちゃんだった。『タモリ倶楽部』※でもその話をしたんだけど、吉田豪さんが〈人間、弱ってるときにアイドルにハマりやすいですよね〉って(笑)」

※テレビ朝日系「タモリ倶楽部」2011年11月25日放送回〈もしタワーレコードの社長がアイドルヲタだったら〉に出演

【参考動画】モーニング娘。の99年のシングル“LOVEマシーン”

 

――ハハハハハ(笑)。

「それでタモリさんが〈(人の)弱みにつけこんでくるんだなあ〉っていう一連の流れが最高だったね。流石にこの仕事をしているから、辻・加護(亜依)の名前くらいは知ってたけどね。それで、“MEMORY 青春の光”(99年2月リリース)の……当時短冊(8cm CDシングル)だったかな? そのサンプル盤をたまたま店で見つけたので、一度聴いてみようと思って聴いたら、カッコ良かったんですよね。クレジットを見るとベースにウィル・リー、ドラムにクリス・パーカーが参加しているわけですよ。ギターがハイラム・ブロックかな? そんな超一流セッション・ミュージシャンを起用して豪華に作ってるんだなと思ったり……そういう言い訳しやすくなる情報がどんどん(笑)」

【参考動画】モーニング娘。の99年のシングル“Memory 青春の光”

 

――辻ちゃんが可愛いという以外に、音楽ファンとして好きな理由になる事柄が(笑)。

「でもシンプルに曲がカッコ良かったっていうのもあって、そこからです、2001年の夏」

――ほう。

「ちょうどその頃にモー娘。の第5期メンバーのオーディションをやっていて、それを見てたんですよ。高橋愛ちゃん、新垣里沙ちゃん、紺野あさ美ちゃん、小川麻琴ちゃんが5期メンバーで入って、それも結構衝撃だったの。紺野あさ美ちゃんなんて、いま言うと悪いけど、歌もダンスもそんなに上手じゃなかったから、〈なんでこの子が受かるんだろう?〉っていうのがおもしろかったんだよね。紺野あさ美ちゃん、辻ちゃんが好きだっていうのはいまの僕に繋がってるなって思うね」

【参考動画】モーニング娘。の2004年のシングル“涙が止まらない放課後”

 

――というのは?

「〈出来の悪い子が好き〉っていうこと。応援したくなるから。いまもそういう気持ちはずっと続いてる」

――私のイメージでは、日本のアイドル好きの人たちはそこがツボなんだろうなと思っていました。もちろんそういう人だけじゃないと思いますけど、完成されてないものに惹かれる人が多いというか。

「ヘタということを受け入れられない音楽ファンにはきっとわからない気持ちだよね」

――ん~……かもしれません。

「やっぱり多少ヘタなほうが感情移入しやすいんだよね」

――庇護欲をそそる?

「応援しなきゃっていう気にさせられるんだろうね。成長していって人気者になってほしい。だから紺野あさ美ちゃんは結構人気があったので、なんか嬉しかったよね。ちゃんと自分のポジションを掴んだし。TVで紺野あさ美ちゃんが主人公のバラエティー番組「13人がかりのクリスマス」(2001年、フジテレビ)というのがあったぐらいなんで。応援するファンだけじゃなく、TVの制作サイドもそういう気持ちだったというのがおもしろかった。日本独特の感じかもしれないね」

――ほ~。

「辻ちゃんが主人公の番組もフジテレビであったんだよ(「サルティンバンコに連れてって! 緊急! 中澤スペシャル」※)。辻ちゃんがファミレスできくち(伸)プロデューサーと〈なにやりたい?〉と話をして、〈プリクラ撮りたい〉って辻ちゃんが言うので加納典明を連れてきたら〈普通のプリクラが撮りたい〉って言ってみたり、〈美味しいものが食べたい〉って言うと料理人の神田川俊郎と周富徳に餃子を作ってもらったり――そういう可愛い番組があったんですよ、伝説の」

※通称:「のの(辻の愛称)スペシャル」

――へ~。

「そこからもうハマり症なんで、辻ちゃんや紺野あさ美ちゃんっていう推しメンも出来たからそれまでの作品も速攻で集めたよね。ほとんど買いまくり。そうだ、松浦亜弥ちゃんも結構好きだったんですよ。2001年の夏前ぐらいから松浦亜弥ちゃんの“トロピカ~ル恋して~る”のPVをよく観たりしていて」

――それは辻ちゃん可愛いとなる前ですか?

「前だったね、いま思えば。ハマるほどではなかったんだけど、イイ曲だな、可愛いな、くらいで。たぶんそのときは精神的に元気だったんだろうね(笑)」

――ハマるほど弱ってなかったんですね(笑)。

「付け入る隙がなかった(笑)。しかし決定打は辻ちゃんで、そこからハロー!プロジェクトという存在を知るじゃない。その前からもちろんハロー!プロジェクト自体は知ってたんだけど、どんな人がいるんだろうって思って、当時は本もいろいろ出てたのでそれを全部買って隅から隅まで読んで、メロン記念日やカントリー娘。、ココナッツ娘。のCDを買ったりした。それで、ライヴへ行くわけですよ。〈観に行きませんか?〉と誘われてハロプロのライヴを観に行ったんだけど、それが僕がいままでに観たことのないステージだった。ステージというかお客さんが。実はステージのことは1mmも覚えてないの(笑)。中野サンプラザだったんだけど、立見席で観てて、僕の斜め前にミニモニ。の格好をしたオジサンがいたんですよ。それをすごく覚えてる。コスプレしたオジサン」

――よりによってミニモニ。!?

「ミニスカ履いて」

――へ~……。

「でも当時はそういう人がいっぱいいたんですよ」

――いまとは違うんですか?

「全然違う! 当時はまだハッピの文化もあったし、ハチマキ文化もあったな、推しメンの名前書いたりしてるやつ。全身に写真やバッジをいっぱい貼ってる人たちとかも。そういう人たちを見て、日本でも海外でもそれまでにいろいろライヴを観に行っていたけど、ここまで全身でファンであることをアピールして応援しているお客さんたちがいる現場は初めてだなって。なかでも、そのミニモニ。のオジサンはすごく印象に残ってるんです。それで楽しくなって、ファンクラブに入ってチケットを買うようになったんですよ」

――なんかそれはイイ話ですね。

「いま思えば、何がそんなに楽しかったんだろうっていう感じなんだけどね。寝ても覚めてもモーニング娘。で。あの頃は毎日モー娘。関連のTV番組があったので、それを全部録画して、帰ったらまずそれ観る。インターネットで関連サイトをチェックするのもおもしろかったし。ライヴ会場へ行くと、ダンスの当て振りをして踊ってる人たちがいるんですよ。会場の代々木競技場第一体育館とかさいたまスーパーアリーナで、開場する前からお客さんが音出して、コスプレしている人やヲタ芸している人もいて、お祭りみたいで楽しかったんだよね」

――それは楽しいかもです! 嶺脇さんはコスプレしないんですか?

「まったくしない!  そこまではね……。あと、モー娘。はサブカル的な要素が強かったんで、〈TV観てると加護ちゃんの元気がないから応援しなきゃ〉とか言って杉作J太郎さんがロフトプラスワンで応援イヴェントをやったり※とか」

※2002年に行われた〈私設あいぼん祭〉〈私設あいぼん祭・頂上作戦〉のこと

――本人は不在だけど(笑)。

「そのうえ非公認で(笑)。加護ちゃんはディズニーが好きだからDVDプレイヤーとディズニーのDVDを買って送るために、来てるお客さんがカンパしたりとか。そのイヴェントでは、Jさんセレクトの映像を観ながらいかに加護ちゃんが可愛いかっていう話を延々と壇上でするの。その映像の合間、10分に1回くらいには東映のヤクザ映画の汐路章さんや山本麟一さんなどの映像が挿まれたりするんですよ」

――どういうことですか?

「あまりにも加護ちゃんが可愛いから、みんな気分が上がるじゃない。それをクールダウンさせなきゃいけないから」

――ほほ~(笑)。

「まあそういうのを観てゲラゲラ笑うっていうのが楽しかった。〈オレ達、モー娘。の味方ッス!〉というイヴェントをやっている人がいたり、RHYMESTERの宇多丸さんがコンバットRECさんとモー娘。のことでずっとケンカしてたり(笑)、あと〈爆音娘。〉っていうハロプロの曲だけを爆音でかけて踊るイヴェントもあった。そうやってモーニング娘。をいろんな角度から楽しむ人たちがいたんです。まあハロプロの事務所的にはNGなことも多くあったと思うんだけどね」

――でもそれだけ熱くなれるというのは、ある意味美しいですね。

「僕はいちファンとしてそういうイヴェントに行ったりしていました。そこからBerryz工房も好きになって、いまに至ります」

 

 

ハロプロは良い悪いとか好き嫌いとかいう問題じゃない

――Berryz工房は何がきっかけだったんですか?

「彼女たちは〈ハロー!プロジェクト・キッズ・オーディション〉で入った(ハロー!プロジェクト・)キッズで、最初は映画『仔犬ダンの物語』や『ミニモニ。じゃムービーお菓子な大冒険!』に出演したりしていたんだよね。その当時はハロプロの名が付くものはすべて観に行ったり買ったりしてたから、また新しい仲間がハロー!に入ってきたんだなと、その映画も初日に浅草東映まで観に行った。そこで『仔犬ダンの物語』にえらく感動してしまって。良く出来てる映画だなって思ったし、出演している子たちも可愛いし。最初は清水佐紀ちゃんを好きになったんだけど、嗣永桃子ちゃんに推し変したりして。それからBerryz工房が結成されることになって、好きな子たちがメンバーだったから応援しようと思ったんだよね。そして上野にあるハロプロ・ショップ※で熊井友理奈ちゃんに出会うわけですよ。生写真をよく買いに行ってたんだけど、この子可愛いなと思ったらBerryzの熊井ちゃんで、その写真を買った。それでいろいろ熊井ちゃんのことを調べていくうちに、どんどん好きになってまた推し変したんだよね。それから熊井ちゃんの生写真を集めはじめるんですけど」

※ハロプロのオフィシャル・ショップ〈Hello!〉。言及されている東京・上野店は、現在秋葉原店と統合されている。

【参考動画】Berryz工房の2005年のシングル“スッペシャル ジェネレ~ション”

 

――相当な枚数をお持ちなんでしょうね。

「これも『タモリ倶楽部』で言ったんだけど、ホント(たくさん)買ってたね。持ってないものは全部欲しい!みたいな。だけど熱中して生写真を集めていたのは1年間だけなんだよ。1年間に1500枚ぐらい買った」

――ちなみに、それは1枚いくらなんですか?

「定価は150円。だけど古いものになると何万もする写真がある。熊井ちゃんが写ってたら全部欲しかったから、〈見切れ〉のやつまで。僕の集めていた見切れ写真は『タモリ倶楽部』で一部紹介したんだけど、まだ結構あるんだよね。そこで紹介できなかったものをSNSにアップしたら評判良くて。これが熊井ちゃん(と見切れ写真を見せる)」

――顔写ってないじゃないですか。

「これは嗣永桃子ちゃんの写真なんだけど、(見切れて写っている)熊井ちゃん目的で買ってるの。だけど、熊井ちゃんが(見切れてても)写ってる写真は全部欲しくて集めてるうちに、(全部は)集まらないことに気付いたんだよね。あまりにもいっぱい出てくるから。それで集めるのを諦めた。でも、そういうのがおもしろいんだよね。もともとコレクター気質だから、Berryzにハマって生写真を買ったりとか、そういうのがアイドルの楽しみ方のひとつだと思うから。それでもう15年ぐらい経つからね、ハロー!にハマってから。いまだに応援してるし」

――年季入ってますね~。私、全然長続きしないので(苦笑)。

「心が折れそうなことは何度かあったけど」

――それはどうして?

「つまんなくなっちゃったの、曲が。高橋愛ちゃんがモー娘。のリーダーになった頃からだんだん曲に魅力を感じなくなっちゃったんだよね。女々しい曲が多くなって、〈僕の好きな楽しいモーニング娘。は……〉っていう思いもありながら、Berryz工房もだんだん大人になってきて。それまではリリースされた作品は迷いなく買っていたのに、だんだん〈これ買うのか?〉という気持ちになってきた。前に、渋谷店でむてん娘。の“あっぱれ回転寿司!”を一度手に取って戻したこともあるもんね(笑)。試されてる感じがした。だけどそういう作品全部買いながら、ツアーがあると必ず初日や最終日、中日とか必ず何回か観に行ってたのね。それもだんだん減ってきて(ひとツアーで)1回しか観に行かなくなってきたんですよ。それが2007年~2009年末とかかな。その頃はPerfumeがおもしろかったの。Perfumeが2006年にコンプリート・ベスト(『Perfume ~Complete Best~』)がリリースされたあたりから楽しくなって、そっちに夢中になったんだよね」

【参考動画】Perfumeの2006年のシングル“エレクトロ・ワールド”

 

――浮気ですか。

「だけどハロプロ関連の卒業コンサートには全部行ってて、モー娘。から久住小春ちゃんが卒業するっていうので、久しぶりにひとつのツアーで2回観たんだけど、卒業コンサートぐらいは観に行こうと思って、厚生年金会館へチケットを取って観に行ったんですよ。その卒コンがね、素晴らしかった! それでライヴが終わった後に新宿の〈さくら水産〉へヲタと行って、ちょっと懺悔したね。こんなにすごいライヴをやるグループになってたのかと。それを僕は斜に構えて中野(サンプラザ)だけしか観に行かなかったりしたことをすごく反省した。そこからまた熱心に観るようにしようと。ちょっと気に喰わないからって、そこでライヴを観る回数が減るとか、CD買うのを悩むとか、そういうのは良くないなと思ったの。〈全部受け入れる〉ことが大事だと。良いとか悪いとか、僕らが言う話じゃないんだと」

――音楽がつまらなくなって離れるというのは、すごくありますね。でもそこからまた戻ってくる、そのうえ離れてしまったことをめちゃめちゃ反省しているという……。

「そこで知ったんだよね、〈曲が好きじゃない〉という理由で離れるというのは。あそこで離れていたら、僕のハロプロ人生は終わってたかもしれないからね。つまり、道重さゆみちゃんの代になってオリコン連続1位というモーニング娘。の復活劇にも立ち会えなかったわけでしょ。しかも、当時あんまり好きじゃないと思っていた曲も、いま聴くと良かったりするわけよ」

【参考動画】モーニング娘。の2013年のシングル“わがまま 気のまま 愛のジョーク”

 

――それは腹を括ったからですね。

「もうね、良い悪いとか好き嫌いとかいう問題じゃないんだよ。ハロー!プロジェクトはそんな小っちゃいもんじゃないの。僕みたいなやつが批評する対象じゃないんだって。好きになるまで努力すること、ハロプロを体験することが大事だと思う。もはや宗教だよね(笑)」

――は~……なるほど……すごい説得力です。

「つんく♂さんが曲を書くことが減っているのは心配なんだけどね」

――ホントそうですよね……。そして、それ以降は変わらずハロプロに愛を注がれていると。

「そうだね、2009年12月6日(久住の卒コンの日)以降だから2010年。おもしろかったのが、ここでもう一度真剣にモー娘。を、と思った時に9期メンバーのオーディションが始まるのよ。それがいまいる鞘師里保ちゃんや譜久村聖ちゃんとかで。久住小春ちゃんが卒業して、亀井絵里ちゃんやジュンジュン、リンリンも卒業することになって、(グループが)変わろうとしている時だったのはちょっと運が良かったなと」

――やっぱり道重さゆみさんというのは近年のモー娘。における象徴的なメンバーだったと思うんですよ。そんな彼女が卒業して、いまのモーニング娘。’15はどうなんですか?

「この前ね、道重さん卒業後初のツアーがあったの。その日本武道館公演がすごかった。道重さゆみちゃんがいた頃よりもさらに熱いエナジーを発してたね、彼女たちは。座って観る席で観てたんだけど、メドレー形式で展開していたところでは、どんどん背筋が伸びていったもんね。背筋を伸ばして観なきゃいけないぐらい、緊張感があってスゴイものを観せられたなと思う良いライヴだったし、長年モーニング娘。を引っ張ってきた道重さゆみちゃんがいなくなっても全然大丈夫だなと。9期以降しかいない、本当の意味でも新生モーニング娘。だから、それを観てすごく安心できた。近年稀に見る良いライヴだったんじゃないかな」

【参考動画】モーニング娘。'15の2015年のシングル“青春小僧が泣いている”

 

――そうだったんですか、良かったです! やっぱりそういったパフォーマンス力というのも年を追うごとにどんどん上がっていたりするものなんですか?

「高橋愛ちゃんの代の前後でダンスの振り付けが難しくなってるんだよね。たぶんあの頃はアジア戦略を練ってたんで、韓国や中国へ行くにはそれなりの歌やパフォーマンスが要求されるからね。そういった国でもちゃんとしたパフォーマンスを見せるという意味で、4年以上メンバー・チェンジもしなかったから」

――ほほ~、そうだったんですか。

「あくまでも僕の推測だけど。モー娘。が誕生して丸10年経った2007年頃にちょうどアジアへ進出するようになったんですよ。K-Popが日本に来るちょっと前なんだよね」

――気付けばモー娘。は〈スキル重視〉みたいな言われ方をするようになったと思うんですけど、それがその頃からなんですね。

「やっぱり高橋愛ちゃんの代以降かな。〈カワイイ〉から〈カッコイイ〉って言われるようになったよね。女性ファンはみんな〈高橋愛ちゃんカッコイイ〉って言うし。さくら学院の(磯野)莉音ちゃんも〈社長、私モーニング娘。好きなんですよ〉って話してきて――〈僕がモーニング娘。好きなこと知ってるんだ、この子は〉って思ったんだけど(笑)」

――そこですか(苦笑)。

「それはともかく、莉音ちゃんが〈高橋愛ちゃん時代のプラチナ期※がすごくカッコイイです〉って言ってたぐらいだから、すごく年齢層広く女性ウケしたんだろうなと。確かに“リゾナント ブルー”(2008年のシングル)のPVもカッコイイもんね」

※2007年~2010年頃、高橋愛がリーダーを務め、メンバー・チェンジがほとんど行われなかった時期のこと

【参考動画】モーニング娘。の2008年のシングル“リゾナント ブルー”

 

――確かに。

「“泣いちゃうかも”もカッコイイし、ダンスの映像にすごく緊張感があるよね。フォーメーションを裏の拍子をすごく強調して踊るというのはすごく難しいだろうなって思う。そういうことを当時は気付かなかったんだけど、いまになって思えば。そこがカッコイイって女性ウケしたポイントかもしれないね。そこからいまに繋がってる感じ」

【参考動画】モーニング娘。の2009年のシングル“泣いちゃうかも”

 

 

何はともあれ、はまちゃん!

「去年の年末から今年にかけて、ハロー!プロジェクトが大きく様変わりしたんですよ」

――そうみたいですね。

「研修生から選ばれた〈つばきファクトリー〉と〈こぶしファクトリー〉が新たに入って、カントリー娘。がももち(元Berryz工房の嗣永桃子)も加入してカントリー・ガールズとして復活した。メンバーが一気に抜けたので、研修生も今年様変わりしたんですよ」

【参考動画】カントリー・ガールズの2015年のシングル“愛おしくってごめんね”

 

――いっぺんに10人以上抜けたということですもんね。

「そう。研修生が一気に若返ったので、いま研修生がおもしろいという話をしようと思って」

――もともとはそういうテーマで話をするつもりだったんですよね(笑)、失礼しました。

「研修生がおもしろいと言ってもですね、僕が何を話したいかっていうと、とにかく今年はこぶしファクトリーを応援しなきゃという。いま推しメンがいるんですけど……」

――こぶしのなかに?

「浜浦彩乃ちゃんっていう子がいるんですよ。彼女が研修生として入った年からずっと応援していて。2011年の汐留(ハロプロエッグ汐留AXイベント)が最初のステージだったのかな。その後、横浜BLITZでのライヴ(ハロプロエッグ2011発表会~9月の生タマゴShow!~)に、その時のイチ押しだった田辺奈菜美ちゃんっていう子を目当てに観に行ったら、彼女が休んでいたんです、病気かなんかで。それで推しメンがいないから誰をメインに観たらいいかという状況の時に、可愛い子がいるって気付いたのがこの浜浦彩乃ちゃんで」

――ほ~。

「(浜浦の画像を見ながら)はまちゃん、可愛い♡ そこから応援するようになって、いまに至るんです。はまちゃんは2011年から(研修生として)いるから古株なんですよ。Juice=Juiceとか、後輩たちがどんどんデビューしていくのを見てきて悔しかっただろうなと。そういうドラマがあるんです、研修生のなかにも。全部が全部表に出てる話ではないし、デビューしてる人たちよりもフォーカスされないからメディア露出は少ないんだけども、ハロー!の明日を担う子たちなんで、ハロー!プロジェクトが永遠に続いてほしいと思ってる僕は研修生の頃から応援しておかないと。けど、最近は研修生のライヴもすごくお客さんが増えた。かつては余裕でチケットが買えたけど、いまは手に入りづらくなってるんだよね」

【参考動画】Juice=Juiceの2015年のシングル“Wonderful World”

 

――へぇ~そうなんですか。研修生のライヴは結構やってるんですね。

「3か月に1回ぐらいやってるかな」

――こぶしファクトリーやつばきファクトリーは?

「帯同してやってる。研修生のライヴでステージをやったり、他のグループの前座をやったりとか。まだデビューはしてないんでね。今年の9月2日にこぶしファクトリーはデビューする。『ラーメン大好き小泉さん』っていうフジテレビの番組(2015年6月~7月)の主題歌“ラーメン大好き小泉さんの唄”も歌ってたし。シャ乱Q“ラーメン大好き小池さん”のダンス☆マン・アレンジのカヴァー」

こぶしファクトリー ドスコイ!ケンキョにダイタン/ラーメン大好き小泉さんの唄/念には念(念入りVer.) zetima(2015)

【参考動画】こぶしファクトリーのニュー・シングル“念には念”

 

――もうすぐデビューですか!

「研修生のイヴェントでおもしろいのは、毎年ゴールデン・ウィークに公開実力診断テストというのをやってて、中野サンプラザにお客さんを入れて、一人一人自分の好きな曲を自分の振り付けで歌うの。審査員としてアップフロントのダンスの先生や歌の先生、今年は高橋愛ちゃんにBerryz工房の徳永千奈美ちゃん、あとはレーベル・マネージャーの橋本慎さん、シャ乱Qのまことさんもそこに参加して、お客さんも研修生のなかで歌とパフォーマンスがいちばん良いと思った人に投票する。それがおもしろいんですよ。ほんとにガチでやるから、みんな。緊張しすぎて、終わった後に泣いちゃったりしますもんね。そういうのも観られる」

――へぇ~、ドラマティック! そこで優勝すると、何かいいことがあるんですか?

「研修生のライヴでソロが歌える。通常ソロで歌う人はいないので、実力診断テストで賞を獲った人にはご褒美として〈あなただけの時間を用意する〉というのがあるんですよ」

――なるほど、そうなんですね。

「だから研修生から応援することでより楽しさが増すと僕は思ってるんだよね。研修生とはいえ、スキルが高い子もいるし侮れないですよ。アクターズスクール広島出身の段原瑠々ちゃんという子がいるんですけど、この子は歌の先生からも〈ハロプロの歌姫〉と言われるくらい能力が高くて、人気もあるんですよ。それでもまだデビューはしていない。みんな歌もダンスも上手くなりたいとがんばっているし、いくらハロプロが〈スキル主義〉とはいっても、アイドルはそれだけでは……というのがツライよなって思う。結局僕のように踊れない子とか歌えない子のほうが好きっていうファンも多いじゃない。元カントリー・ガールズの島村嬉唄ちゃんは、キャリアのある研修生と比べたら歌も踊りもまだまだ未熟だったんだけど、セリフを言った後にはにかんでしまうというだけで僕らは落ちてしまうからね」

――まあグループだとメンバーそれぞれのキャラクターも重要ですし、やはり〈バランス〉というのもあるんでしょうね~。

「何はともあれ、とにかくはまちゃん、今年ははまちゃん、これからはまちゃん」

【参考動画】2013年冬、浜浦彩乃の紹介動画

 

――うんうん、良かったですね。

「はまちゃんはもっと早くデビューすると思ってたの。もっと早い時期にデビューして、ちゃんとはまちゃんを応援してるはずだったのね。まさかこんなに時間がかかるとは思わなかった」

――世代的にはどのあたりでデビューしててもおかしくなかったんですか?

「Juice=Juice、モー娘。の13期にいたっておかしくない逸材ですよ」

――なるほど、何か意図があったんですかね~。

「何かしらあったんでしょうね、オーディションのテーマとかバランスとかね。〈ハロ!ステ〉※に、はまちゃんのデビューが決まったのを知らせるときの映像があるんですよ。℃-uteの矢島舞美ちゃんが新ユニットに選ばれましたって言いに行くんだけど。泣けますよ。オジサン泣いた泣いた」

※毎週水曜日に更新されるハロー! プロジェクトのYouTubeオリジナル番組

【参考動画】新ユニットでデビューを告げられる際のメンバーの模様は1:00:08頃から

 

「(はまちゃんの様子は上掲動画1:10:50頃からご覧ください)声だけで泣けるからね、はまちゃんの号泣。ぜひヘッドフォンで(笑)。はまちゃんはなかでもいちばんキャリアが長いから、感慨もひとしおだよ」

――〈人生が変わる瞬間〉なわけですね。

「(上掲動画1:04:40頃から登場する)広瀬彩海ちゃんと井上玲音ちゃんは、もともと〈ナイスガール・トレイニー〉というつんく♂さんがプロデュースしている〈NICE GIRLプロジェクト!〉の研修生からハロプロ研修生になった子なんだよね。広瀬彩海ちゃんはナイスガール・トレイニーとして3年くらいやっていて、いまはこぶしのリーダーですよ」

――ハロプロ研修生になって1~2週間でデビューが決まったとは(映像中で語られる)! この子(井上玲音ちゃん)、カワイイ。

「いま〈おはガール〉やってる子ですよ。最近、生写真購入リストに入りました(笑)」

――アハハ。

「これともうひとつ別に、つばきファクトリーというのが出来たので、研修生がどっと抜けて、また5月に新しい子が入ったんですよ。〈ハロプロ研修生〉というYouTubeチャンネルに、最近入った子たちのインタヴューがアップされています。あまりメディアへの露出はないけど、ハロプロさんはこうやってアップしてくれているので」

――研修生のチャンネルまであるとは!

「研修生には、もともとローカル・アイドルだった子とかもいるんだよね。元とちおとめ25(栃木)の高瀬くるみちゃん、元ぷりんせす♪りぼん(静岡)の小野田紗栞ちゃんはやっぱり抜群に〈できる〉よね、キャリアがあるので」

――そういうパターンもあるんですね~。

「アンジュルムの佐々木莉佳子ちゃんは気仙沼のSCK GIRLSにいたし、カントリー・ガールズのちーちゃん(森戸知沙希)は群馬のCoCoRo学園、稲葉愛香ちゃんは北海道のPEACEFULにいた。やっぱりハロー!プロジェクトは名門ブランドだし、モー娘。の人気が盛り返したというのもあって、そういう同業他社から入ってくるというパターンが増えているんだろうね。あと夢があるのは、いまモーニング娘。のリーダーの譜久村聖ちゃんはもともとエッグですからね。初めてエッグからモーニング娘。のリーダーにまでなったんですよ」

――叩き上げ!

「小っちゃい頃からハロプロが大好きで、エッグ(研修生)になってモー娘。に入って、いまそのリーダーをやっている――研修生の可能性は昔以上に広がってる気はするね」

――そうなると研修生のモチヴェーションもだいぶ上がりますよね。

「中で競争しながらデビューできるチャンスが巡ってくる可能性は高いですよね、一般にいるよりは。だから長くいる人たちは、はまちゃんみたいに号泣してしまうんだろうね。〈もうないと思ってた、デビュー〉ってボソッと言ってて(上掲動画の1:14:00頃)、相当追い詰められてたんだなぁと思った。研修生で人気のあった田辺奈菜美ちゃんや、リーダー的存在だったりっちゃん(金子りえ)のように突然研修課程を修了していなくなったりするから、いま応援しないといけないんだよ」

――なるほど、そういうことだったんですね。そんなドラマが巻き起こっていたとは……。では、そろそろ締めに入ろうと思うのですが、最後に言いたいことなどあれば。

「とにかく今回僕が伝えたいのは、こぶしファクトリーとして9月にデビューする浜浦彩乃ちゃんがイイ!っていうこと」

――わかりました! 太字にしておきます!