初の絵本で伝えたかったこと。〈魂は死なない〉〈未来は自分次第で変えられる〉
トライセラトップスの和田唱が初めての絵本を発表した。きっかけは、2019年発売のソロアルバム『ALBUM.』収録曲“さよならじゃなかった”だった。
「大切な人との別れに悩む人々に〈魂は死なない。肉体的にさよならしても、魂は宇宙で生きている〉ということをビジュアルでも伝えたいと思いました。僕の夢の中では、今も祖父母や父は生きていますから」。不思議な世界、目に見えない世界に関心があり、10年ほど研究していると語る。
「うちのおじいさん(フランス文学者・平野威馬雄)は、相当ぶっ飛んでいて、オバケやUFOの本も書き、奇人変人扱いされたんじゃないでしょうか。僕は明らかにそのDNAを受け継いでます」。
絵本「ばぁばがくれたもの」に描かれた情景やUFOのおもちゃに、小学生の頃の祖父母との思い出がミックスされて重なる。創作ストーリーは一気に書き上がり、絵本制作は自然な流れに任せたという。
「これまで、いつも自分で仕切らないと気が済まないところがあったのですが、今回は人の力を借りる良さを学びましたね。美術学校の同級生(佐々木一聡)の優しい絵のイメージが瞬時に浮かび、LINEでやりとりしました。昭和の絵本のタッチ。大人も読める日本の絵本。手描きなので、何度も一から絵を描き直してくれました」。絵のぬくもり感とディテールに神も愛も宿っている。
「僕も絵を描くのは好きで美術の学校に行きましたが、父(和田誠)という存在には、とても敵わないと思い、音楽の道へ。自分はロックの人だから、両親の話題に触れられると〈全然ロックじゃない!〉と抵抗。30代を経て、40代は全然大丈夫になり、今は、ありがとうございます! ですね」。
絵本の家族は母子家庭。夕方になると涙ぐむ母親に、天国のばぁばから手紙が届くシーンが心に残る。
〈あなたの未来はあなたが作るの〉
〈えがおをわすれないで〉
「これは、父を亡くした母(平野レミ)のために書いた物語とも言えますね。ちなみに母も3人孫がいますが、〈タータン〉とあだ名で呼ばれてます(笑)」
コラボCD曲“オレンジ色のやすらぎ”では、大人になった主人公が〈ばぁば〉に〈君〉と呼びかける。〈♪たった1つ魔法のような願いごと、叶うならあの日の君に会いにゆく〉とタイムトラベラーのように歌う。ソロアルバム『ALBUM.』にもシンクロする世界観。大切な思い出も生命も、時空を超えて、宇宙では永遠。
EXHIBITION INFORMATION
絵本『ばぁばがくれたもの』出版記念原画展
2022年7月22日(土)~2022年8月7日(日)東京・幡ヶ谷 パールブックショップ&ギャラリー
月・火休館 入場無料
https://888books.shop/