チュニジアのカウテール・ベン・ハニア監督が現代美術、難民問題や資本主義の風刺を交えながら自由とは何かを提起した作品。愛する女性と離ればなれになったシリア難民の主人公が著名な芸術家と出会い、自身の背中を芸術作品とすることで自由と大金を手に入れ愛する女性のもとへと向かうはずだったのだが……。現代美術家ヴィム・デルボアの実在する作品から着想を得ている他にもロベルト・フェッリの絵画を重要な場面で使用したり、暗示させるような使い方をしているのも印象に残った。タイトルを見たときにデヴィッド・ボウイの“世界を売った男”を思い出し、次はどんな男が何を売るのだろうかと思いを巡らしてしまった。