1950~60年代にクリーヴランド管弦楽団を厳格な訓練で瞬く間に全米トップ・オケへと育成し、遂にはカラヤン&ベルリン・フィルとともに〈世界最高〉と謳われた伝説の指揮者ジョージ・セル。本書はセルの弟子が膨大な一次資料と関係者の証言をまとめた評伝の初翻訳である。ウィーンで〈モーツァルトの再来〉と騒がれた少年時代、戦前のヨーロッパでの成功、ナチスを嫌っての渡米、そしてクリーヴランドでの栄光まで、これまで日本で殆ど知られていなかった彼の激動の人生と、厳しさの中にも温かみのある人間性を知ることができる。本書に登場する曲目をセルのCDで聴けば、その味わいは一層深まることだろう。