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躁と鬱のバランス

 さらに、gu^2との“先制の剣”ではコケティッシュなドリルンベースを披露。Iimoriとのアップ“Freedom Kingdom”では韓国からSwervyを迎え、スタイリッシュな掛け合いを見せている。

 「“先制の剣”は、“BOUNCE DANCE”とは対照的にぶっ飛んでハッピーな曲を作りたくて。アルバムの制作期間、もう締め切りが過ぎてる状況なのにゲームしてたんですよ、ダラダラと。なので、これはリアルに自分を鼓舞するための曲っていう(笑)。直前までやってたのが『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』で、〈マスターソード〉とか〈先制の剣〉っていうワードはそこからですね。Swervyは彼女のヴィジュアルが好きでInstagramを見てて、そこから楽曲を聴いてみたらめちゃめちゃラップが上手くて。それで今回オファーしました。トラックは90年代のゴアトランスをリクエストして。Swervyもクールに乗ってくれたので、かなりお気に入りの曲になりました。リリックに関しては、当時は音楽をやることを反対されたりとか、身近なところから支配されている感覚が強かったので、そこからの解放っていうテーマで書きたいなと。私の中で、これは意気がってる曲。強い気持ちを持つための曲ですね」。

 そうした共作曲がある一方で、重厚なスケール感で迫る“paranoia”、言葉とサウンドが裏腹なダンス・ポップ“傍観者”と、自身のみのクレジット曲もまた個性的だ。

 「ダブステップを作ろうってずっと思ってたんですけど、ある日の夜、寝てたら曲を作っている夢を見たんです。それを現実にしたくて、起きてすぐ作ったのが“paranoia”。ライヴを意識した楽曲で、音に包まれている感覚を表現したかったっていうのもありますね。トラックもだいぶ立体感のある仕上がりになったと思います。“傍観者”は〈ハウスっぽいノリの曲も欲しいな〉って軽い気持ちで作ったトラックが先にあったんですけど、メロディーとリリックは〈ああもう嫌だ〉ってなってる鬱状態の時に出来たので、言ってることは暗いのにトラックはめっちゃ躁状態で明るい(笑)。そういうバランス感も私の強みかなって思います」。