第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作家の小日向まるこの最新作。妻と死別したステンドグラス作家の篝(かがり)。生きる意味が分からなくなり、創作意欲もなくなり、ステンドグラス教室もたたもうとしていた。雪降る中、彼の目の前に、生き別れた孫のあかりがトランクを引きずって現れる。孤独なふたりがともに暮らし、ステンドグラスを作り、少しずつ打ち解けていくが、あかりはなにか秘密を抱えているようだ。家族の形や自分の居場所、幸せの定義に縛られることなく生きればよいと、苦しいときは逃げていいし助けてもらえばいいと、言ってくれている気がする。素朴で柔らかなタッチは、物語の優しさそのものだった。