賛否両論だった前作からラウンジーかつゴージャスな意匠を継承しつつ、さらに優雅に、さらに美しく磨き上げたアルバムだ。それはアレックス・ターナーを中心とする4人が、このシックで麗しい音を、何の無理もなく着こなしていることを意味する。先行曲“There’d Better Be A Mirrorball”を含む大半の曲は、バカラックを彷彿とさせる華麗なストリングスと鮮やかな転調を配したオーケストラル・ポップ。その爛々とした輝きのなか、ブリストル・サウンドにヒントを得たかのような“Sculptures Of Anything Goes”やクールなモッド感を持つ“I Ain't Quite Where I Think I Am”が、艶やかに黒を映えさせる。アレックスの裏声もすっかり板についており、ここまできたらもう次のボンド映画のメインテーマを歌うのは、彼らしかないのでは。