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 もちろんカルチャー・クラブが一世を風靡できたのは、そうしたジョージの突飛なキャラクターだけが要因ではない。誰もが驚いたのは、ヴォーカルの素晴らしさだった。ソウルフルで、ハートウォーミングで、慈愛の情をたっぷり湛え、人間的な温かさ、豊かさ、儚さ、包容力が滲み出るようなその歌声に。しかも、サウンド的にもUKのアーティストたちが先を争って採り入れようとしていたレゲエやダブを、完璧に自分たちの物としたのみならず、カリプソの陽気なリズムの導入も特長的だった。そして、“Do You Really Want To Hurt Me”を収録したファースト・アルバム『Kissing To Be Clever』(82年)が全世界で大ヒット。同作からミディアム・テンポの“Time (Clock Of The Heart)”もUKで3位、USで2位をマークする。

 翌83年には2作目『Colour By Numbers』を発表。ソウルフルなヘレン・テリーの歌声をフィーチャーした“Church Of The Poison Mind”ではモータウン・ビートに挑戦し、その後にシングル・カットされた“Karma Chameleon”でさらなる支持を獲得する。ニューロマ云々を抜きに、良質なポップスとして幅広く受け入れられた後者は、英米で1位を獲得したのをはじめ、世界各国のチャートを制覇。ほかにも同アルバムからは、ジョージがカルチャー・クラブのなかで最愛の曲だというバラード“Victims”がUKで3位、“Miss Me Blind”がUSで5位のヒットとなる。