耳で聴いたピープル・トゥリー:ボーイ・ジョージをめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生んだ

MARK RONSON & THE BUSINESS INTL 『Record Collection』 Allido/Columbia(2010)

 ここ10年ほど80s風の音をよく耳にしますが、エッジーさだけを強調するなどリアル80sの本流とは距離があるのも事実。そんななか往時のベタな部分を捉えた本作はどうでしょう。ジョージを招いたことも効果てきめん! この共演に手応えを感じたか、カルチャー・クラブの次作をマークが手掛けるなんて噂も! *山西

 

一風堂 『ESSENCE: THE BEST OF IPPU-DO』 ソニー(2010)

 土屋昌巳の女装っぽいメイクばかりではなく、“Do You Really Want To Hurt Me”をカヴァーしている事実も含め、〈和製カルチャー・クラブ〉と呼びたいバンド。代表曲“すみれ September Love”を、モロにジョージを意識していたIZAM率いるSHAZNAがカヴァーしたことも、いま思えば納得だ *北爪

 

KEN BOOTHE 『Everything I Own』 Trojan/Spectrum(1974)

 新作収録の“Live Your Life”で70s初頭のスタジオ・ワン作品みたいな音を披露したジョージ。ソロ転向後はバンド期よりもグッとオーセンティックなレゲエに接近している印象で、87年にはケン・ブース唯一の全英No.1ヒットである本作の表題曲(オリジナルはブレッド)を忠実にカヴァー済み。 *山西

 

FOSTER THE PEOPLE 『Supermodel』 Columbia/ソニー(2014)

 既成のロック・フォーマットから脱却しようとする点で、80s初頭と現行インディー・シーンはよく似ているかも。特に非欧米のビートをスマートかつポップに消化する彼らは、初期カルチャー・クラブと同じ方向をめざしている気がしてなりません。あとは見た目にも気を配ってくれたら、君たちは完璧さ。 *山西

 

YOKO ONO 『Approximately Infinite Universe』 Apple/Rykodisc(1973)

 シリア騒乱を受けて書かれた新作収録曲“Bigger Than War”で〈愛はビートルズよりも大きい〉と歌った後、〈でもヨーコほどじゃない〉と加えたジョージ。さらに“Death Of Samantha”もカヴァーし、「嫌われた時期があったとしても、本物は時が経てば証明される」と発言。自分とヨーコを重ね合わせてる? *山西

 

DAVID BOWIE 『The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars』 RCA(1972)

 デビュー当時からボウイ好きを公言しているジョージだが、実際にカルチャー・クラブで“Star Man”を臆面もなくカヴァーしちゃうほどのリスペクトぶり。エキセントリックかつ中性的なルックスといい、ソウルやファンクの要素をモダンなポップに昇華させた音作りといい、その影響は計り知れない。 *北爪

 

ANTONY AND THE JOHNSONS 『I Am A Bird Now』 Secretly Canadian(2005)

世間に馴染めなかった少年時代、アントニーはジョージから生きる希望を見い出したんだとか。時は流れ、NYを拠点にDJをしながら不祥事ばかり起こしていたジョージに、今度は彼が手を差し伸べ、本作の“You Are My Sister”に招待。ピアノ、弦楽器、2人の歌声──すべてが優しくて泣きたくなります。 *山西

 

GEORGE MICHAEL 『Symphonica』 Virgin(2014)

 2人のジョージは犬猿の仲。発端はマイケルが自分を偽っていたから、だそうです。でも太ったり痩せたり、警察沙汰になったりと同じような経験を乗り越えて4年前に和解。本作ではデヴィッド・ボウイもかつて歌った“Wild Is The Wind”を披露するなど、趣味も似ているんだし、これからは仲良くね! *山西

 

Leah Dizon 『Destiny Line』 ビクター(2007)

 中田ヤスタカによる“恋しよう♪”のリミックスなど、80sモードがチラホラ現れる歌手デビュー作。ここではカルチャー・クラブ“Time(Clock Of The Heart)”を、ソウルフルな女性コーラスを従えている部分も含め、ストレートにカヴァーしています。不安定なリアの歌声が原曲の切なさを助長していてイイ! *山西

 

BODY PARTS 『Fire Dream Father(2013)

 ロンドンのクラブを発火点にカルチャー・クラブ“White Boy”など数々のキラー曲を生むも、わずか数年で廃れたファンカラティーナ・ブーム。しかし現代にそれを継承するユニットが、LAインディー・ダンス界のわりと真ん中にいましたよ! 嘘だと思うなら本作収録曲“Unavoidable Things”を聴いてみて! *山西

 

 

LANA DEL REY 『Born To Die』 Stranger/Interscope(2012)

 2012年にカヴァー集を出す予定だったジョージは、その先行シングルとして本作収録の“Video Games”をスライド・ギター中心の極シンプルなアレンジで披露。併せてXXのナンバーなどをすでに録音したことも発表し、トレンド・ウォッチャーぶりを見せつけたのでした。いまの追い風に乗ってぜひ蔵出しを! *山西

 

THEME PARK 『Theme Park』 Transgressive(2013)

 本作にも関与したフレンドリー・ファイヤーズを筆頭とするダンス・ロック一派のなかで、抜群の大衆性を誇るロンドン生まれのこのバンド。ジャマイカ系の双子を中心とした人種混合な編成を抜きにしても、随所で顔を出す都会っ子丸出しの似非トロピカル感はとってもカルチャー・クラブ的です。 *山西

 

T.REX 『The Slider』 EMI/Edsel(1972)

 『This Is What I Do』で聴けるタイトルも直球な“My Star”は、デヴィッド・ボウイと並ぶジョージのヒーロー、T・レックスのマーク・ボランに捧げられたナンバーだ。煌びやかなグラム・スターへの憧憬がいまなお継続していることに、ジョージの熱くピュアな思いが窺えてグッときてしてしまう。 *北爪

 

FAITHLESS 『Sunday 8PM』 Cheeky(1998)

 デビュー作『Reverence』(96年)とそのツアーに伴う狂乱を経て、劇的に変化した自分たちの環境を見つめ直し、グッとテンポを落としながら内省的に深化した2作目。叙情味溢れるトラックの上にジョージがうつろなヴォーカルを乗せた“Why Go?”は、そんな本作の鍵を握る重要曲だと思います。 *山西

 

LADY GAGA 『Artpop』 Streamline/Interscope(2013)

 全身でアートを表現するジョージに対し、折に触れて敬意を表してきたガガ。一方、彼女にベタ褒めコメントを寄せるなどジョージもまんざらではない様子です。「チャートを賑わす人たちと無理して競う必要はない」と話す彼ですが、バンドの復帰作ではコラボ話も持ち上がり……さてどうなる? *山西