「彼の物腰は際立っていたし、マナーにはいかにも血筋の良さが現れていて、自然と誰もが彼をプリンスとして扱ってしまう」。これは本書に引用されたリストによるショパン評である。ここでは、ショパン本人や友人達の日記や手紙、著書、そして当時の演奏評などを丹念に集め、こうした〈肉声〉より人間ショパンを活写している。ワルシャワでの神童時代に始まり、19歳での初恋、23歳パリでの成功、25歳メンデルスゾーン、シューマンとの交流、28歳サンドとの恋愛と38 歳の別れ、39歳の死と盛大な葬儀まで、その生々しい描写は読んでいてその場に居合わせているような気分になるほど。ショパン・ファン必読!