「クラシカル・ドリームズ」
『ヴァイオリン』『チェロ』『管楽器』『ピアノ』『オーケストラ』『バッハ』『モーツァルト』『ベートーヴェン』『ショパン』『アヴェ・マリア』
春、現代人の安息のために鳴り響くクラシックを
クラシック音楽を、何故聴くのだろう。かつては上流階級のための環境音楽であったり、祭事に用いられる実用音楽であったり、ホールやサロンでしか鑑賞できない芸術作品であったが、今はそれだけではない。録音が発達し、個人が家庭で名曲に思いを馳せる事が当たり前に出来る時代だ。音楽ホールに足を運ぶことでしか楽しめなかった音楽は、生活の一部として身近に存在する。そして時代や環境が変わった現在、クラシック音楽はまた違った感動を与えてくれる。
ワーナークラシックスが贈る「春のクラシック・キャンペーン」の最新作。2015年で20年目を迎える今シリーズは「クラシカル・ドリームズ」と銘打って、「リラックスしたいときに聴きたいクラシック音楽」をコンセプトに構成されている。器楽別・作曲家別など、テーマ別に名曲を詰め込んだ全10タイトルがお求めやすい価格でリリース。
器楽の王にして色彩豊かに表現できるピアノをメインとした『4.Piano』では、リラックスにふさわしい名曲を選曲。サティ《ジムノペディ》ドビュッシー《月の光》など納得の楽曲に加え、ラフマニノフ《ピアノ協奏曲第2番第2楽章》で締め括られる本アルバムで、ピアノの魅力は存分に味わえる。
夜桜のジャケットが美しい『8.Beethoven』。月光・悲愴・皇帝の緩徐楽章から始まり、ロマンス第2番や三重協奏曲に七重奏曲までカヴァーした濃密な内容となっている。
13曲のアヴェ・マリアが収録された『10. Ave Maria』もなかなかに興味深い。グノー、カッチーニ、シューベルトはもちろん、ストラヴィンスキーやラウタヴァーラまで網羅した大全集。癒しの音楽である以上に《アヴェ・マリア》総覧としても面白い盤に仕上がっている。
この他のタイトルもリラックスにふさわしい選曲となっている。儚くも美しい緩徐楽章の響きが現代人の安息を彩る。