「1度目と2度目の録音どちらが素晴らしいのか?」と問われると、各々答えは異なるだろうが、23年振りとなるワルツ再録音は、やはり旧録を超える完成度の高いアルバムといっていいだろう。1度目では収録されていた3曲のワルツを敢えて外したりする等、選曲や曲順にも彼の考えが細かく反映されている。1曲、1曲の時間はゆっくりと演奏されており、その余韻を最後まで感じ取ることができる。そして今回の演奏は「アクロス福岡シンフォニーホール」で録音されているが、ホールの音響も際立っており透明感あふれる響きが一層深まりをおびている。何はともあれ今回の再録は、己の感覚を振り絞って聴いてほしい。

【参考音源】ジャン=マルク・ルイサダによる90年録音作『ショパン:17のワルツ』
収録曲“Waltz No. 1 In E Flat, Op.18”