今やポップミュージックの共通言語となった感のあるEDM界の代表スクリレックスのソロでは9年振りのアルバム。連作の『Don’t Get Too Close』のポップさに対して、今作はリリース早々クラブアンセムとなったリード曲“Rumble”を筆頭にハードなダンスアルバムだ。
前作『Recess』(2014年)やディプロとのユニット〈ジャックÜ〉までの大箱・フェス志向に対して、マディソン・スクエア・ガーデンでのライブでも共演したフォー・テット、フレッド・アゲイン..とのコラボレーションを中心に、ストイックな四つ打ちを中心に据えているのが印象的だ。しかしハウスにしてはコンプレッションが強くラウドで、ソリッドで大衆的な印象をもたらしている。
こうした四つ打ちのトラックは、彼の主催するレーベルOWSLAのコンピレーション『HOWSLA』が象徴する2017年頃や、今作にも参加するジョイライドから続くベースハウス路線の集大成でもある。グルーヴが平坦な四つ打ちと、2、4拍が強い従来路線のブロステップを1枚のアルバムとして共存させるのは難しいが、ドリルのスネアパターンが印象的な“Tears”や、民族調の“XENA”などでパーカッションに重きを置くことで違和感なく接続している。
“RATATA”でのミッシー・エリオット“Work It”(2002年)のサンプリングや、アートワークにアルフレッド・ピエトローニを起用するなどY2Kブームとの共振も見受けられる。宇多田ヒカルとのコラボレーションソング“Face My Fears”(2019年)と同ネタと思わしき“Good Space”にも注目だが、ポーター・ロビンソンやスウェイ・リー、ベースミュージックからはノイジアなど各ジャンルを代表するコラボレーターも広く参加し、流行り廃りの激しいEDMシーンで10年以上トップを走り続けているスクリレックスならではの、シーンの成熟と豊かな未来を示す良作だ。
RELEASE INFORMATION
リリース:2023年2月17日(金)
配信リンク:https://skrillexjp.lnk.to/QFFtw
TRACKLIST
1. Leave Me like This (Skrillex & Bobby Raps)
2. RATATA (Skrillex, Mr. Oizo, & Missy Elliott)
3. Tears (Skrillex, Joker, & Sleepnet)
4. Rumble (Skrillex, Fred Again.., & Flowdan)
5. Butterflies (Skrillex, Starrah, & Four Tet)
6. Inhale Exhale (Skrillex, Aluna, & Kito)
7. A Street I Know (Skrillex & Eli Keszler)
8. Xena (Skrillex & Nai Barghouti)
9. TOO BIZARRE (juked) (Skrillex, Swae Lee, Siiickbrain, & Posij)
10. Hydrate (Skrillex, Flowdan, BEAM, & PEEKABOO)
11. Warped Tour ‘05 with Pete WENTZ
12. Good Space (Skrillex, & Starrah)
13. Supersonic (My Existence) (Skrillex, Noisia, Josh Pan & Dylan Brady)
14. Hazel Theme
15. Still Here (with the ones that I came with) (Skrillex, Porter Robinson & Bibi Bourelly)