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コラム

鈴木雅之『SOUL NAVIGATION』人々をダンスフロアへ誘う、堂本剛やAyaseらとファンクを追求した新作に迫る

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音楽を楽しんでほしい

 まず、鈴木自身が作詞・作曲した楽曲が3曲もある。そのひとつとなる冒頭曲“MY SOUL NAVIGATOR”からいきなりファンク濃度が高い。鈴木が〈2023年の俺がナヴィゲートできるものは何だろう?〉と考えた際に、〈音楽を、ライヴを楽しみたい〉ということに辿り着き、そこから〈ダンス〉、そして〈ファンク〉というキーワードが浮かんできたという。同じく自作の2曲目“I know how to have a good time.”はシンセが大活躍するミネアポリス調だ。

 堂本剛、Ayase(YOASOBI)、橋口洋平(wacci)、水野良樹、マハラージャン、在日ファンクといった顔ぶれだけで期待を高めてくれる作家陣の提供曲もいちいちダンサブル。個人的には、ブラック・ミュージックをルーツに各々のファンクを追求していた堂本剛による“flavor”と、在日ファンクによる“スポットライト”が興味深かった。前者は、甘いラヴ・バラードから始まって徐々にPファンク的なねっとりとしたグルーヴを展開していく超一級品の歌謡ファンク。後者はJB流ファンクと鈴木の真っ向勝負に思わず手に汗握る最高のダンス・チューン。浜野謙太と鈴木の声の重なりの相性の良さに思わず手を叩いて喜んでしまった。

 また、〈まるで令和版の“恋人”〉と鈴木が賛辞を贈るAyase作の“道導”、〈ラヴソングの王様〉がマッチングアプリ時代の恋愛をユーモラスに歌ったマハラージャンによる“君とデスマッチ”にもミラクルな化学反応が起きている。さらに、〈かぐや様〉で黄金タッグを築いた水野良樹は今回もすぅ(SILENT SIREN)を招いたゴージャスな“GIRI GIRI”、高城れにのコケティッシュな魅力が弾ける“Love is Show”というタイアップ2曲で彩りを加えた。

 橋口洋平の提供曲を冨田恵一がアレンジした流麗なミディアム“言葉にすれば”、鈴木自身の手になる本編最終曲のゴスペル・バラード“EveryDay EveryTime”と、しっとりとした楽曲で安らぎを与えることも忘れない。ボーナス・トラックのCARTOONとYELLOCKによる〈かぐや様〉メガミックス“CLUB KAGUYA”は、さしずめアンコールの声が止まないダンスフロアへの愛に溢れたプレゼントだ。

 船長〈キャプテン・マーチン〉が個性豊かなクルーとダンスしながら航海の舵をとる、ファンクのマザーシップ『SOUL NAVIGATION』。本作は、コロナ禍を経た時代に暮らす人々を、ワクワクする旅へと連れていってくれる。

『SOUL NAVIGATION』参加アーティストの関連作。
左から、ENDRECHERIの2021年作『GO TO FUNK』(RAINBOW☆ENDLI9)、YOASOBIの2021年作『THE BOOK 2』(ソニー)、wacciの2022年作『suits me! suits you!』(エピック)、在日ファンクの2020年のシングル“おかんむり”(KAKUBARHYTHM)、マハラージャンの2023年のシングル“くらえ!テレパシー”(ソニー)、HIROBAの2023年作『HIROBA』(エピック)、SILENT SIRENの2020年作『mix10th』(ユニバーサル)、ももいろクローバーZの2022年作『祝典』(EVIL LINE)

左から、3月29日にリリースされるシングル『Love is Show feat. 高城れに』、ライヴ映像作品「masayuki suzuki taste of martini tour 2022 ~DISCOVER JAPAN DX~」、2022年のシングル『GIRI GIRI feat. すぅ』(すべてエピック)

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