本人のエッセンスを知ると共にコードの理解が促される楽譜集
藤井 風さんの曲は、キャッチーでグッと来る上にジャズ・クロスオーバーなテイストが光る楽曲揃いなのですが、そのピアノ楽譜集第2弾です。前書きにもあるように、ご本人が気ままに(とはいえ要所要所アレンジされていますが)弾いたピアノ演奏を採譜したものだそうです。ステージで魅せるダイナミックでパッションあふれるピアノの秘密がわかるのかと思うとワクワクしますね。
本編は11曲掲載されていますが、それぞれメロディをピアノに含めたソロバージョンと、メロディを歌に任せる弾き語りバージョンの2種類収載という形になっています。ぱっと見難しそうな印象ですが、実際にさらってみると、左手は1オクターブのベース(Root)にゴーストノートの5度(たまに9度にいったりクラシカルなアルペジオ型も)が基本形、右手はコードトーンをリズミックに鳴らしながらメロディも弾かなければならず、きっちり譜面通り弾くのは至難の業です。中でも“へでもねーよ(LASA edit)”はキーもAマイナーで易しめですし、弾き語りバージョンの方ならメロディを弾かない分幾分易しいのですが、譜面を読むのが苦手という方には厳しそうです。ただこれは頭の使い方の問題で、まずコードをしっかり理解して習得し、右手左手のコンビネーションをドラムのように練習すれば、譜面と完全一致でなくても似た感じで演奏できます。スタイルとしては80年代クロスオーバー時代に活躍したリチャード・ティー、デイブ・グルーシン、ジョー・サンプル、ボブ・ジェイムスあたりの影響が感じられますね。
ボーナススコアとして収載されているラストの3曲は譜面通りの音源が流通している曲なので、取り組みやすいでしょう。ただ3曲とも#が5つ付くキー(BメジャーまたはG#マイナー)なのでやはり読譜は大変!
ご本人も書いているとおりフィーリングで変えて弾くも良し、コードの確認に使うも良しですが、こういった曲を弾くためにはやはりコードをちゃんと習得した方がいいですよ! なんて先生みたいなことを言いたくなる楽譜集です。
曲目
【ピアノ・ソロ&ピアノ弾き語り】
■きらり
■まつり
■へでもねーよ(LASA edit)
■やば。
■燃えよ
■ガーデン
■damn
■ロンリーラプソディ
■それでは、
■“青春病”
■旅路
【ピアノ弾き語りボーナススコア】
■Weak / SWV
■Overprotected / Britney Spears
■Eh, Eh / Lady Gaga
※掲載楽曲は、ピアノ・ソロ及びピアノ弾き語り用にアレンジされております