前作以降は各々がソロ作を発表し、自身の音楽性を突き詰めた三人。そのためか、この新作での決め事は〈一から三人で集まって作る〉のみだったという。耳にして思うのは、歌との距離感が近い作品だということ。既作やツアーで馴染みの面々も多く参加しているが、どこかSFライクな音響やサンプリング、複数のリズムが並走するアンサンブルの前に超然とたゆたうのは、音のひとつとして現れるヴォイスとソフトな歌声、揺らぎのあるハーモニーだ。全体を包む密室感と相まって、物語に没入させる力は過去作でも随一。儚く叙情的な余韻もとてもいい。ミックスは宇多田ヒカル仕事などで知られる小森雅仁。