ceroの荒内佑による初のソロ作は、クラシックとジャズのマリアージュによる先鋭的かつエレガントな秀作。立体的に配置された管弦楽器、共同プロデューサーでもある千葉広樹のウッドベース、自身の手によるピアノを軸にしつつ、サンプリングも加えた楽曲は、ミニマルから派生して現代のビート・ミュージックにも連なり、未知のサウンドデザインを描き出す。とはいえ難解な印象は薄く、Black Boboiでも活動するジュリア・ショートリードが約半数の曲でヴォーカルを担当し、ポップスとしての親密さを持ち合わせているのはやはりceroのコンポーザーならでは。トロンボーン奏者でもあるコーリー・キングがスムースな歌声を聴かせる“Clouds”やドープな音像の表題曲など、最後までハッとさせられる瞬間の連続。