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ジョンソンズに立ち戻るまでのアノー二の足取り

 活動当初からアノーニは客演の多い音楽家だったが、『Hopelesness』以降もその傾向は変わらない。同作で共同プロデューサーを務めたOPNの2018年作『Age Of』における複数曲への参加を筆頭に、ナカーネの“New Brighton”(2019年)、カレント93人脈でもあるマイケル・キャッシュモアの“The Night Has Rushed In”(2011年)などにフィーチャーされている。プロデューサーとしては、ロビンやハニー・ディジョンらが参加したネナ・チェリーのリワーク集『Versions』(2022年)に“Woman”を提供。同年のハーキュリーズ・アンド・ラヴ・アフェア『In Amber』には全面参加していた。

 本人名義では、ボブ・ディランのカヴァー“It's All Over Now, Baby Blue”、 米
共和党へのプロテスト・ソング“RNC 2020”を2020年に発表。加えて、92年にアノーニが創設したパフォーマンス・グループ、ブラックリップス関連の楽曲を集めたコンピレーションも注目すべき作品だ。オブスキュア・ディスコからガレージ・パンク、オペラ調の楽曲まで実験性と猥雑さに溢れた収録曲の数々は、アノーニの芸術性がどう育まれていったか――その出自をありありと伝えている。 *田中亮太

左から、アノーニの2020年のシングル“It's All Over Now, Baby Blue”(Secretly Canadian)、マイケル・キャッシュモアの2021年作『The Night Has Rushed In』(House of Mythology)、ネナ・チェリーの2022年のリワーク集『The Versions』(EMI)、ハーキュリーズ・アンド・ラヴ・アフェアの2022年作『In Amber』(Skint)、2023年のコンピ『Blacklips Bar: Androgyns And Deviants - Industrial Romance For Bruised And Battered Angels 1992-1995』(Anthology)