Photo by Atiba Jefferson 2018

21世紀の電子バロック音楽!! ヴォーカルとチェンバロとノイズが交差するポップ・ミュージック

 前作『Garden Of Delete』(2015年)以降、アノーニとデヴィッド・バーンのプロデュース、FKAツイッグスとのコラボレーション、そして音楽を手掛けた映画「グッド・タイム」では、見事カンヌ映画祭最優秀サウンドトラック賞を受賞と、活動の場を拡張し続けているワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(以下OPN)ことダニエル・ロパティン。

ONEOHTRIX POINT NEVER 『Age Of』 Warp/BEAT(2018)

 待望の新作は、OPN名義の作品としては初めてゲストを招いたこと、そしてヴォーカル曲が増えたことの2点が最大の特徴であり聴きどころだ。そのヴォーカル・パートはOPN自身に、アノーニとホスピタル・プロダクションを主宰するドミニク・ファーナウことプルリエントも加わり、アルバムの約半数をヴォーカル曲が占め、牧歌的なOPNの歌メロが印象的な“Babylon”やアノーニの神々しさが際立つ“Same”など人間味を感じさせ、過去にないポップな作風に感じられる。とはいえほとんどの声がエフェクトやノイズで加工されているだけでなく、プルリエントと思われる禍々しい絶叫や、効果的に配されているチェンバロのサウンドが交じわることで生まれる複雑怪奇な様相はOPNらしさともいえるだろう。

 そんな混沌したサウンドをポップにまとめることに貢献しているのがジェイムス・ブレイク。3曲でキーボードもプレイしている彼がアルバム全体のミックスを任され、自身の作品とオーバーラップする多彩なヴォーカルのアレンジや、仄暗く奇妙な音使いをしながら曲をポップに彩る巧みな手捌きがここでもいかされている。

 ゲストはこの他にもシンガー兼チェリストのケルシー・ルーや、現地時間の5月22日にNYで行われたソールドアウト公演のメンバーでもあるパーカッショニスト=イーライ・ケスラーなど気鋭アーティストが加わり、細部まで聴き逃せない仕上がりになっている。またサウンド面と同様に拘りを詰め込んだ特殊なパッケージも目玉で、是非手に取って確認してほしい。

 


LIVE INFORMATION
一夜限りの来日公演決定!

2018年9月12日(水)東京・渋谷 O-EAST
開場/開演:19:00/19:30
https://www.beatink.com/