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説明不要なハマの大怪獣が、ZORN主宰のAll My Homiesから10年ぶりのオジバムを投下! 待望の『NOT LEGEND』はMACCHOが唯一無二のレジェンドたる理由を圧倒的に証明する!

大怪獣の10年間

 約何年経ったろう……というフレーズを誰もが思い浮かべてしまったかもしれない。ZORNが主宰するAll My Homiesからこの8月9日にサプライズでリリースされた『NOT LEGEND』は、OZROSAURUSにとって10年ぶりのアルバムである。〈ハマの大怪獣〉の異名で知られ、変わることなく横浜代表として親しまれてきたOZROSAURUSとMCのMACCHOだが、アルバムとしては前作にあたるDJ WATARAI制作の『Dish & Dabber』がリリースされたのが2013年の6月のことだ。当時を思い起こせば、その前年には通算4作目『OZBUM 〜A:UN〜』も登場しており、前後してサイプレス上野とロベルト吉野“ヨコハマシカ”(2012年)や般若“ジレンマ”(2013年)といったコラボ曲の話題も続いていたから、MACCHOの威信はヘッズの間でも別格的にキープされていたに違いない。が、そこから10年が過ぎた現在においてもMACCHOとOZROSAURUSという名前が特別であり続けているという事実を、今回の『NOT LEGEND』リリース時における話題の広がりからも改めて感じたという人は多いのではないだろうか。

OZROSAURUS 『NOT LEGEND』 All My Homies(2023)

 とはいえ、この10年の間に何もなかったわけではもちろんない。もともと96年に1MC+1DJのコンビとして結成され、途中で何度か形を変えてきたOZROSAURUSは、10年代半ばの時点でミクスチャー界の名うてたちを迎えてバンド形態へと発展していた。その形で配信シングルの発表やライヴも行ったほか、2017年には地元の球団・横浜DeNAベイスターズのドキュメンタリー映像作品などに“OUR TIME IS N.O.W.”や“影光り 光り影”などを提供。さらに同年のMACCHOは、タイプライター&YMGのアルバムにてSEEDAとのコンビ・チューン“Boss Up”を披露し、MARIAのアルバム『Pieces』では“Bad City -Yokohama-”に客演。2019年にはANARCHYの“Rollin’”(DJ PMX制作)やNORIKIYO“俺達の唄”にも参加している。2020年に入ってからは5lackの“透明少女”にも招かれていた。

 ただ、肝心のオジロとしての動きは、その後のコロナ禍も相まって見えにくくなっていった。そうでなくても決してコラボなどが頻繁なわけでもなく、常にどこかでライヴをしているわけでもない。取材などのメディア露出も基本的には行わず、SNSで日常を発信するわけでもない。そんなMACCHOのスタンスは現代においては稀有なものでもあるが、そうしたブレなさもあって彼の作品の価値は保たれ、浮世とは一定の距離を置いたような孤高の存在感をよりいっそう輝かせるための下地になったのかもしれない。

 一方、この10年間の重要な出来事を別の確度からも挙げるとしたら、フリースタイルのMCバトルがブームを経て定着した結果、クラシックの“AREA AREA”をはじめとするビートがバトル中に頻繁に使用されたこともある。それはそのままライムやパンチラインの引用にも繋がり、結果的にはいままでとは異なるリスナー層や若い世代にもオジロの魅力を自然と伝導することになっていったはずだ。