ソロ・プロジェクトとしての初作となった『crepuscular』から1年9か月ぶりの新アルバム。シンセがスペイシーなグルーヴを描く“Runner’s High”、ブリティッシュ・ロック調の“指先ひとつで”、韓国のSE SO NEONと共に紡いだメロウネスが深い残響に沈む“ほのめかし”など、多様かつどこか開放的な印象をもたらすサウンドが楽しげに並ぶ。近作ほどエレクトロニックなアプローチは前に出ておらず、ホーンも含む生楽器の柔らかなアンサンブルが心地良い。バンド史の通低音とも言えるAORに根差したソングライティングに改めてフォーカスしながら、モダンなプロダクションで提示した作品だ。