Mikiki編集部員が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。連載100回を超え、4人が1曲を厳選し計4曲を掲載してまいります。 *Mikiki編集部
【鈴木英之介】
碧海祐人 “天象 (feat. さらさ)”
気鋭の宅録系シンガーソングライター、碧海祐人。詳しくはこちらの記事を参照してほしい。 “天象 (feat. さらさ)”は、彼が12月22日(水)にリリースするファーストアルバム『表象の庭で』からの一曲だ。海外のアンビエントR&Bとも共振するメロウな曲調と甘くアンニュイな歌声、空気をふんだんに含んだような柔らかなサウンドが心地よい。また揺らぎを巧みに織り込んだ繊細な音響も魅力で、それが彼の歌世界に深みと幽玄さを付与しているように感じられる。
【田中亮太】
Boris “Drowning by Numbers”
世界的に評価の高いエクスぺリメンタルロックの3人組が、2022年1月21日(金)にニューアルバム『W』をリリース。海外のリリース元がセイクリッド・ボーンズというのは納得かつ親指が立つ感じでしたが、日本のレーベルがKiliKiliVillaというのには驚きました。この“Drowning by Numbers”は同作からの最初のリードソング。美しいノイズと立体的なリズムセクションが、彼ら特有の陰影に富んだサウンドにかつてないほどの深み、拡がりをもたらしているように感じます。プロデュースを担ったのはBuffalo Daughterのシュガー吉永さん。流石です。
【酒井優考】
パンのみみ “週末”
この曲でベースを弾いてるカワノアキさんのユニットar syuraを紹介した縁か、ボーカリストむとうみかさんからご連絡をいただき聴いてみたら見事にハマりました。
パンのみみは、2015年に2人で活動をスタートさせたポッププロジェクトで、メンバー脱退があり現在はむとうさんのソロプロジェクトだそうで。サポートのゆみのさんによるトラックの音使いや、写真やイラストからはゆるふわ系+打ち込み系のシンガーソングライターかな、と思ったんですけど、聴けば結構情熱的というか、クールさの中に熱を感じます。恋人同士って、付き合いたてはやることなすこと何でも楽しかったけど、月日が経つうちになあなあになってきてしまって、なかなかうまくいかないような時もあります。そんな恋人に対する、〈私なりの愛し方〉の宣言みたいな曲。歌詞を読んで、だから熱があるのかって思いました。こんなふうに愛されたいですね。
カワノさんの吠えるようなソロ含むベースプレイも相変わらずカッコいいし、曲自体のリズムとか、日常のさまざまな音のサンプリングも含めた些細な音遊びとか、いろいろカッコいいと思います。
【天野龍太郎】
KIRINJI “ただの風邪”
KIRINJIの新作『crepuscular』でいちばん好きな曲が、この“ただの風邪”です。見事な比喩に彩られた歌詞の素晴らしさはもちろんですが(詳しくは奥野紗世子さんによるコラムをご覧ください)、とにかく感動したのは〈KIRINJI節〉としか言いようがない美しいメロディー。『crepuscular』のCDは本日フラゲ日です。配信リンクはこちら。