5年ぶりに姉弟トリオが帰ってくる! 不滅のロックンロール魂が込められた来日記念盤

 キティー・デイジー&ルイスがノース・ロンドンからファースト・アルバム『Kitty, Daisy & Lewis』(08年)を引っ提げてデビューしたとき、この姉弟トリオの平均年齢は17歳。中でも、次女のキティーはわずか15歳だった。ところが、前記のアルバムの収録曲は、主に50年代のロックンロールやロカビリーなどのスタイルに基づくオリジナル曲と、マディ・ウォーターズ、キャンド・ヒートのカヴァー。しかもホーム・スタジオで、デジタルを一切排除し、アナログ機材だけで録音されていた。

 録音を担当したのは、かつてアイランド・レコーズでマスタリング・エンジニアとして活躍していた父親と長男のルイス。母親は元レインコーツのドラマー、イングリッド・ウェイスということも、当時ちょっとした話題になった。こんなキティー・デイジー&ルイスが10月下旬に5年ぶりに来日するとのことで、来日記念盤『シングル・コレクション』が発売された。

KITTY,DAISY & LEWIS 『Singles Collection』 Sunday Best/BEAT(2023)

 『シングル・コレクション』は、06年以降のシングル収録曲から成る全17曲入りCD。キティー・デイジー&ルイスの3人は、それぞれピアノやギター、ドラムス、バンジョー、トロンボーンなどを演奏するマルチ楽器奏者。しかも全員がヴォーカルもとる。こんな彼らはデビュー以来、ルーツ・ミュージックとヴィンテージ・サウンドへのこだわりはそのままに、音楽性の幅を広げてきた。現にこの日本独自企画盤には、元クラッシュのミック・ジョーンズのプロデュースによるレゲエがあれば、リコ・ロドリゲスがトロンボーン、エディ・“タンタン”・ソーントンがトランペットで参加したスカもある。最後を締め括るのは、ファーサイドのスリムキッド・トレがラップを披露する“Baby Bye Bye (KDL vs. Slimkid3)”。ただし、キティー・デイジー&ルイスの音楽の核にあるのは、DIY(Do It Yourself)精神、そして不滅のロックンロール魂だ。本作は、この点を再認識させてくれる編集盤でもある。

 


LIVE INFORMATION
KITTY, DAISY & LEWIS JAPAN TOUR 2023
2023年10月22日(日)朝霧JAM 2023
2023年10月23日(月)東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO  SOLD OUT
2023年10月24日(火)大阪・UMEDA SHANGRI-LA  SOLD OUT
https://www.kittydaisyandlewis.com/