気品溢れるストリングスがアクロバティックな動きをみせる滑り出しから一気に引き込まれてしまうエヂ・モッタの新しい世界。5年ぶりとなるこの新作、弦はプラハで、管はデトロイトに赴いて録音するなど徹底した音作りへのこだわりが奏功し、美しく変化に富んだテクスチャーが浮かび上がってくる。祝祭感溢れるスムース・ソウル“Safety Far”、サーカス音楽風のノワールなワルツ“Of Good Strain”、ポーレット・マクウィリアムズやフィリップ・イングラムといったソウル・レジェンドと密に絡み合うスティーリー・ダン調の“Shot In The Park”など聴きどころがありすぎ。掛け値なしの傑作だ。

 


2013年に発表したその名もまさに『AOR』というアルバムからの流れを汲んだブラジリアンAORの新たな金字塔が登場! 先行公開されていたM2“Slumberland”はエヂ・モッタ自身がリスペクトするSteely Danへのオマージュ的な要素が随所に窺え、事前期待値は充分。タイトなドラミング、キレのあるカッティング、メロウなエレピを洗練されたサウンド・プロダクションで聴かせる一枚。シティ・ポップの大コレクターという側面を持つ彼。我々日本人のツボを知り尽くしているのではないかというぐらい、この手の音楽好きには間違いなしの作品。