2023年10月で47年の活動に幕を引くエマーソン弦楽四重奏団のラスト・アルバム。全く衰えを知らない創意と探求心に溢れ、弦楽四重奏の諸相と奥深さを啓いてくれる極上の一枚。全曲が当団初録音であり、ベルクを除くと言わば特殊編成、ソプラノのバーバラ・ハンニガンが加わり(シェーンベルクは第3楽章から)、ショーソンではさらにピアノでシャマユが参加。ハンニガンの貢献は絶大で、濃厚かつ強い説得力に満ち、ショーソンでの美しい詠嘆、シェーンベルクでのゲオルゲ詩“連祷”、続く無調の“忘我”での存在感は圧倒的。ベルクとショーソンでは例によって第1ヴァイオリンが交替しセッツァーが担当、エマーソンの流儀を刻印。