夜の遊び場へようこそ――それぞれの思いに寄り添うカラフルな楽曲が揃った初のEPには次の大舞台へ向かう13人のまた新たな決意が見え隠れしていて……

 5月のアルバム『OUR PARADE』が初のオリコン1位を獲得し、再始動後の最大規模となるLINE CUBE SHIBUYAでのワンマン〈CROSSROADS OF FATE〉を開催してグループの歩みに大きな節目を刻んだGANG PARADE。夏から秋にかけては複数のツアーを重ね、このたび届いたのが初のEP作品『The Night Park E.P.』です。今回は〈夜〉をテーマにしたエレクトロ/ダンス系中心の楽曲集で、歌唱メンバーを絞ったユニット曲、さらにユメノユアのソロ曲もボーナス収録され、新たな魅力が盛り込まれた一枚になっています。年明け1月には約4年半ぶりの日比谷野音ワンマンも控える13人に話を訊きました!

GANG PARADE 『The Night Park E.P.』 ワーナー(2023)

 

それぞれの夜に

――今回の『The Night Park E.P.』は、〈夜〉がコンセプトのEPですね。

ヤママチミキ「〈夜〉と言っても人によって、その時々によって違う夜を毎回みんな過ごしていると思って。一緒に夜を楽しめたり、逆にちょっと悲しい夜なら一緒に気持ちを共有できたりとか、いろんな夜に寄り添える楽曲が入ったEPになっています」

カ能セイ「いろんな夜をテーマにした曲があって、全曲聴いた後の満足度が高いです。また、その夜の気分によって聴く曲を変えるのもおもしろいし、いままでになかった曲調もたくさんあるので新しいギャンパレも感じられると思います」

キャン・GP・マイカ「最近はわりとパレード寄りなギャンパレをお届けしてきたので、今回はヴィジュアル的には久しぶりにギャング寄りな感じで。夜の公園ということで、衣装もジャージでちょっとイカツめに攻めております」

――収録曲のなかではキャ・ノンさん作詞の“Träumerei”が一足先に披露されていましたが、その曲を作る時点で〈夜〉がテーマだった?

ユメノユア「その時点では決まっていなかったですね(笑)」

キャ・ノン「“Träumerei”は曲を作ってくださったKOTONOHOUSEさんから最初にいくつかワードを貰って、そのイメージやフューチャー・ベースっぽい曲調から広げて書いていきました。振付けも含めて、聴いてくれる人に寄り添えたらいいなっていう気持ちで出来た曲です。夜ではなかったです(笑)」

マイカ「正直に言った(笑)」

――逆に、この歌詞があったから今回のテーマに至ったわけですね。制作陣が初顔合わせの方々なのもあって、レコーディングの環境や進め方も変わったんじゃないですか?

キラ・メイ「そうですね。いままでのレコーディングとは全然違っていました。例えば3回録るとしたら、1回目は元気に、2回目は大人っぽく、3回目は〈とにかく自由にやってみて〉みたいな。いままでは何回か挑戦して〈良いの出たね〉みたいな感じだったりしたのが、今回は具体的にいろんな角度の歌い方に挑戦したり、そういう意味でも〈自由にやってみて〉みたいな録り方が私はけっこう多かったかもしれないです」

ユイ・ガ・ドクソン「今回は曲に対する解釈とかフレーズごとの歌い方を自分たちも考える必要があったし、もっともっと個々の引き出しがいるなって思いました。だからレコーディングに向けての気持ちや準備しておくことはけっこう変わった気がします。逆にやってみて初めて見つけた歌声もあったりするので、難しいけどおもしろかったです(笑)」

ユア「今回は、いま自分に何ができるのかを凄く考えながら挑んだレコーディングでした。あと、10人体制ぐらいからは2人ずつ歌を録るみたいなやり方も多かったので、相手に合わせて歌ってみたりできたんですけど、今回からガッツリ1人ずつ歌を録って、スタンバイの時間もそれぞれ違うから、他のメンバーに合わせて何かをするというよりも、対自分の向き合い方が大事になって、新鮮でしたね。いままでと違う発見がたくさんありました」

ヤママチミキ

ユメノユア

――そこも挑戦だったわけですね。それに続いて配信されたAiobahnさん作の“ソムニウム”はユユさんの作詞です。

テラシマユウカ(ユユ)「これもまだテーマがない頃に書いたんですけど、偶然にも夜のワードが出てきて。“Träumerei”も“ソムニウム”も〈夢〉っていう意味だし、そこから〈Night Park〉というテーマが広がっていったのかなと思います。デモをいただいた時には、このカワイイ・フューチャー・ベース系の音に合う内容にしてほしいっていうのがあって。だから、筋が通ってなくて矛盾が生じてる歌詞でもいいかなって思ったのと、仮歌や曲から宇宙っぽさを感じたので、宇宙人の恋バナの話を書きました。そしたら何も言ってないのに宇宙人を好きになるっていうMVを撮っていただいて」

チャンベイビー「かわいさのなかに毒っ気みたいなものがあって、歌詞だけ見てもかわいい言葉がたくさんあるんですけど、そのなかにちょっとピリッとしたスパイスみたいな言葉があります。MVでも宇宙人を狂うほど愛してたりして、現代人の好きそうな良さがあって好きです」

メイ「現代人? 誰目線(笑)」

アイナスター「MVはベッドマットがめっちゃ積み重なってる場所で撮ったんですけど、みんな素でワーワーやっているギャンパレ要素もありつつ、スタイリングもめっちゃかわいいし、映像にフィルターもかかっていたりして、いままでにないかわいさを引き出していただきました」

ユア「ガチ寝してたよね(笑)」

ナス「そうなんですよ。8月のいろんなツアーを並行して回ってる合間に1日かけて撮影して、ベッドで寝ているシーンが多かったので、完成したMVでも目を瞑ってるところは、基本的にみんな本気で寝ています(笑)」

――振付けはマイカさんですか?

マイカ「“ソムニウム”はセイです」

ユア「セイがめちゃくちゃAiobahnさんを聴いてたんだよね」

ユユ「作詞も狙ってたんやんな」

マイカ「でもユユが選ばれたので、〈セイが振付けしてみる?〉ってなって。1曲丸ごとをセイが振りを作るのは初めてなんですけど、普段からAiobahnさんを聴いてる子のほうが世界観とかイメージを作りやすいと思ってお願いしました」

セイ「歌詞に〈しゅわしゅわ強いソーダ〉や〈クリオネの心臓〉などキャッチーでかわいい単語がたくさん入っているので、そういうところを振りや構成で表現したいなと思って作りました。あと、冒頭の部分はみんなが真似したくなるような振付けをイメージして、いままでサビではお客さんと一緒にやるようなフリが多かったのですが、今回のサビは13人を魅せるほうを意識して作りました」