過去と未来の分岐点に立った彼女たちは、大きく手を振って明日へと駆け出した。激動の一年とその先を見据えたニュー・シングルで11人はどこへ向かう?

 1月の日比谷野音ワンマン〈天晴れ!真冬の大ギャンパレ音楽祭 in 日比谷野音〉を13人で賑やかに飾り、多岐にわたる活動を展開する一方、7月にカ能セイが脱退し、11月には8年間在籍してきたテラシマユウカが脱退するという激動に見舞われた2024年のGANG PARADE。ただ、12人で最後の舞台として11月30日にLINE CUBE SHIBUYAで開催されたワンマン〈TO BE BORN〉は、グループ初のバンド・セットで挑んだスペシャルなパフォーマンスで圧倒し、別れの涙もありつつ爽やかに未来を窺わせるものでした。そんな年を締め括るニュー・シングル『Sparkling Moon/グッドラック・マイフューチャー』について、今後の展望について、11人に話を訊きました!

GANG PARADE 『Sparkling Moon/グッドラック・マイフューチャー』 ワーナー(2024)

 

こういうライヴがやりたかった

――初のバンド・セットで臨んだワンマン〈TO BE BORN〉から数日経ちましたが、改めてどういう日だったでしょうか。

アイナスター「もともとバンド・セットでやることは最初から決まっていたんですけど、アンコールまで12人体制ラストのライヴをして、ダブルアンコールで11人の新曲“グッドラック・マイフューチャー”を初披露して。初めてのバンドだったり、1つのライヴのなかで体制が変わったり、変化が凄く見せられた日だったと思います。ずっと〈変化を見せていきたい〉って話していたんですけど、実際にそれができたライヴだし、もっと変化して、遊び人(GANG PARADEファンの総称)ともっと楽しい遊び場を作っていきたい気持ちも高まりました。いままでにないぐらい、きつくて楽しかったです」

――それは体力的な話?

ナス「はい(笑)。ギャンパレってめちゃめちゃ曲の幅があって、今回はバンドっていう主軸ができたことでそこに統一感も出せたと思うんですけど、そのぶんセトリの流れがしんどくて。“Gangsta Vibes”“躍動”“涙は風に、思いは歌に”“Dreamer”を続けるブロックがあって、そこがいちばんきつかったです。その後の“Peace☆超パニック”もつらかったし、“pretty pretty good”もつらかった(笑)」

月ノウサギ「全部つらい(笑)」

キャン・GP・マイカ「構成的にMCみたいな、ちょっと休憩できるターンとかタイミングを気にしないでいられる時間があんまりなかったから。ナスのつらかったゾーンも曲間をシームレスに演奏で繋ぐ構成で初めてやらせてもらったから、より休む暇がなくて。でも、それがめっちゃ良かったです。こういうのをやりたかったっていうライヴができた気がします」

――ライヴ後の動画で、マイカさんは終わった瞬間にダウンされてましたね。

マイカ「ダブルアンコールが終わって最後のMCで月が話してる時に、コントロールできなくなっちゃって。力が入らなくなって運んでもらいました」

ヤママチミキ

――終わった安堵感みたいな?

マイカ「はい、全部出し切りすぎて……」

ユイ・ガ・ドクソン「赤ちゃんみたいになっちゃった」

マイカ「そう、悲しくて泣いてるって思われてたんですけど(笑)、何も考えられなくなってビックリしちゃいました。涙も鼻水も全部垂れ流しで(笑)」

チャンベイビー「垂れ流し(笑)」

マイカ「すぐ治ったんですけど」

――それぐらい気を張った日でもあったわけですね。

月ノ「でも、ホントにただ一言、〈良い日だったな〉って思います。ずっとギャンパレでやりたかったバンド・セットでワンマンをやれたのも嬉しかったですし、それを想像していたより何倍もカッコイイ形で叶えていただいて。GANG PARADEをカッコ良く見せようっていういろんな人の助けがあって実現できたライヴで、チーム一丸となってライヴが作れたことがホントに嬉しかったし、何より喜んだりビックリしたりして楽しんでくれている遊び人の気持ちが凄く伝わってきたたんですよね。例えばヴァイオリンの演奏から“Dreamer”が始まったり、みんなが想像できない演出でいろんなギャンパレを見せられたっていうか。スタッフさんやバンドの皆さんの思いも、メンバーの思いも、遊び人の思いも全部詰まった日だったな~と思います」

――演出も選曲もハイライトが多かったですが、セットリストはどうやって決まったんですか?

マイカ「ライヴ制作のスタッフさんとギャンパレスタッフ陣が相談して考えてくれて」

ナス「渡辺(淳之介:元WACK代表)さんもいろいろ意見をくださって決まりました」

ユメノユア

――12人ラストという意味が乗ってきたことで変わった部分もありましたか?

マイカ「セトリは何曲か変わりましたね」

ユメノユア「アンコールの“Priority”は“INVOKE”と迷ってたりとか」

月ノ「あと、最終的には入ったけど、最初は“Plastic 2 Mercy”が入ってなかったんですよね」

ココ・パーティン・ココ「そうだね。たぶんバンド・セット系で他にもやりたい曲があったとは思いますけど」

マイカ「“Gangsta Vibes”は13人で1人ずつラップのパートがあるから最近はやってなくて、今回も最初は入ってなかったんですよ。でも、ライヴ制作の方が〈絶対かっこいいから〉って推してくれて、うちらも絶対やりたい!ってなって。バンドだから逆に何でもできるということで、セイのパートをドラム・ソロにしてもらってダンスに変えたりとか。だから、もうできないです(笑)」

月ノ「もうできない」

ココ「やりたいんだよな」

――13人のイメージが強かった曲だと、“シグナル”の披露も良かったですね。

ユア「“シグナル”もセイが抜けてからやれてなかったので、久しぶりでしたね」

マイカ「あれも〈もう思いっきりユユをフィーチャーしちゃえ〉って」

月ノ「イントロとアウトロをユユのパートにしましたね」

キラ・メイ「1回きりだからね」

マイカ「ツアーのファイナルじゃない形の、単独のライヴだったのも良かったです。準備期間がちゃんと取れて」

ココ「しっかり準備できた」

月ノ「バンドの皆さんとも一緒に何回も通しで練習させていただいて、〈準備できることは全部やりきったから、あとはもうステージで出すだけだ!〉みたいな気持ちで挑めたのが良かった」

マイカ「みんなそんな感じだった気がする。〈緊張はしてるけど、不安要素はない〉みたいな」

ココ「マジでわかる」

キャン・GP・マイカ

――本来だとシンプルに特別なワンマンになる予定だったようですが、〈TO BE BORN〉というタイトルはもともとどういう意味で付いたんでしょう。

ユア「12人になったタイミングで開催が決まって、公演名も決まって。だから、12人で生まれるはずだったんだよね」

ベビ「そうだったっけ?」

ドク「そう、〈12人で新しいギャンパレに生まれ変わります〉っていう」

月ノ「そう思ってたら、11人で生まれ変わっちゃったっていう(笑)」

――今回のシングルの準備段階からその11人体制で動いてきて、改めて11人になってみてどうですか。

キャ・ノン「まだライヴしてないので、そこまで実感はないんですけど、全然少なくないのに、少なく感じますね。やっぱり13人いた頃のモサモサ感みたいなのが薄くなったのはあります。LINE CUBEの最後に新曲を11人で披露した時に〈これからこの形になるんだ〉ってようやく少し実感したというか。私はセイが辞めた時も、パッて切り替えるってよりかは、じわじわと実感していくグラデーションな感じだったので、今回もそうなるのかなって思います」

ユア「ノンも言ったようにライヴしてないからあれですけど、いまは自分の感情よりも、11人のライヴを観たお客さんがどういう感情になるのかなって凄く思いますね。もう直近のリリイベとか年明けのWACKツアーに向けて追われてるって感じで(笑)。やらなきゃいけないことが相も変わらず山積みなので、それに向き合ってる感じかもしれない」

――11人でのパフォーマンス用に作り直して……って数か月前に同じようなお話をした気がしますね(笑)。

月ノ「いや、ホントにそう(笑)。12人では40曲ぐらい作ったけど」

マイカ「それが、いまは……」

月ノ「5曲ぐらい(笑)」

ココ・パーティン・ココ

――表立った大きな動きはない12月ですけど、めっちゃ忙しいってことですね。

ユア「ずっと追われてます(笑)」

マイカ「私は新曲の制作をしてて、既存曲はみんなで手分けして11人のフォーメーションを作り直して。で、全員で集まった時にそれを仕上げて、1日2〜3曲ペースでやっております」

ココ「みんなで持ち曲を分担して」

マイカ「じゃないと間に合わない(笑)」

ユア「昔はフォーメーション作るのも得意/不得意があるから、得意な子がやるので良かったんですけど、いまはもうみんなで分担して」

ココ「もう苦手とか言ってられない(笑)」

ユア「でも、ちょっとずつみんなもできるようになってきて」

マイカ「みんな強くなりましたね」

ナス「だってさ、前にベビナスで“FiX YOUR TEETH”を変えた時とかは全部ユアさんにチェックしてもらって(笑)」

ベビ「丸を描いてもらってた(笑)」

ココ「成長、成長」

ベビ「でも、いまだに丸13個描いてて」

ココ「わかる。14の時とかあったもん」

――14はおかしい(笑)。

ココ「わけわかんなくなるんですよ」

ノン「でも、やっぱり奇数はフォーメーションを作りやすいなって思った(笑)」

月ノ「慣れてるからね」

ココ「それは実感した、5か月ぶりに」

ドク「Vもキレイに作れる」

マイカ「間違いない」

ユア「13から12になった時も思ったけど、やっぱり12から11になると見え方が違ってくるから、11人のバランスとかステージ上の使い方を、早く法則を見つけなきゃなっていう気持ちかもしれない」

マイカ「同じだと、どうしてもパワーダウンして見えちゃうから」

ユア「より良いものを探してる状況です」