ジャネット・ジャクソンの日本ツアーにゲスト出演するため来日したTLCが、一夜限りとなる単独公演を東京・豊洲PITにて開催した。94年リリースの名盤『CrazySexyCool』の発売30周年を祝うステージとして大きな注目を集めていた同公演のオフィシャルレポートが到着した。 *Mikiki編集部


 

〈欲しいときは気取ってないで自分からねだるし〉(“Ain’t 2 Proud 2 Beg”)。

〈ねぇ、それって本物の友だち?〉(“What About Your Friends”)。

2024年3月18日、豊洲PIT。ガールグループの全世界的元祖にしてお手本のTLCがステージに登場、デビュー作『Ooooooohhh... On The TLC Tip』(92年)の代表曲を歌い出した。32年前のヒット曲である。当時を知っていそうな人も、明らかに生まれていなかった若いファンも一斉に歌い出す。その、一体感。80年代までもコーラスを聴かせるガールグループはいたけれど、男性に脅威を与えないように愛らしいか、もしくは過剰にセクシーなラブソングを歌っていた。TLCは、全くちがった。流行りだったブカブカの服を着ながらも等身大のまま、恋愛でも人間関係でも身近に感じられる歌詞を歌ってくれた。友だちの話を聞いているみたいで、そこが新鮮だったのだ。

ダイヤモンドセールスを記録した『CrazySexyCool』は、クレイジーなラッパー、レフト・アイと清楚ながらセクシーなチリ、リーダーで歌声も態度もクールなT・ボズの3人のキャラクターをタイトルにしている。グループではキャラ分けとケミストリーが大事なことを示したアルバムだ。そのケミストリーは、ステージでも発揮されていた。DJとホーン隊を含めたフルバンド、3人のダンサーを引き連れたセットは迫力満点。コンサートの中心はT・ボズの抑えた歌唱で、チリは自分のパートでしっかり美声を響かせ、ダンサーと動きを合わせることもしばしば。ダンスがバシッと揃うと、世界中を魅了したミュージックビデオを生で見ている気分になり、高揚した。2002年に交通事故で他界したレフト・アイのパートは、オリジナルの歌唱を丁寧に抜き出してバランス良く聴こえる。

複雑なビートの曲が多かった『Fanmail』(99年)や『3D』(2002年)からの曲は短く抜き出し、もっともR&Bらしい『CrazySexyCool』からの“Creep”あたりをじっくり歌い込む。ダンサーパートが、よりによってM.O.P.の“Ante Up”(2000年)だったのがおもしろかった。

「次は、感じていたことを私たちの言葉で書いた曲なの!」とのチリのMCから“Unpretty”へ。セルフラブやボディポジティブといった言葉が強調されていなかった時代に、〈どうしてかわいくないって感じさせるの?〉と自分を見つけるように励ます内容だ。「レイディーズ!」のかけ声で、ダメ男を突き放す“No Scrubs”が始まった。時代を経て、性別限らずダメな相手はやめておこう、と響くようになっていたのが興味深かった。DJダブズが「リサ“レフト・アイ”ロペスよ、安らかに!」と叫び、ラストの“Waterfalls”に入った。〈危ないことをして生き急ぐな〉というメッセージを含んだ名曲だ。T・ボズとチリの歌声がきれいに重なり、それこそ川の流れのようだった。会場も、大合唱。客引けの時間にチリが一人で出てきて、客席に両手を振っていた。亡くなったレフト・アイを含め、TLCは永遠に友だちキャラで寄り添ってくれるグループだ、となんだかありがたい思いで会場を後にした。

 


SETLIST
1. Ain’t 2 Proud 2 Beg
2. What About Your Friends
3. Baby-Baby-Baby
4. Red Light Special
5. Hat 2 Da Back
6. Silly Ho
7. FanMail
8. Creep
9. Way Back (feat. Snoop Dogg)
10. Case Of The Fake People
11. Kick Your Game
12. Girl Talk
13. Diggin’ On You
14. Unpretty
15. No Scrubs
16. Waterfalls

3月18日公演プレイリスト:https://tlcjp.lnk.to/0318TW

単独公演を終えたTLCからのメッセージ映像:https://twitter.com/INTSonyMusicJP/status/1769727196237619289