ジョン・スティーヴンス名義でのデビューから20年。一昨年のクリスマス盤に貢献したラファエル・サディークもふたたび関与した最新作は、EGOT制覇の伝説男らしい豪華ゲストと鉄壁のプロダクションに撃ち抜かれる。ドクター・ドレー曲を使ったオーク制作の“Actions”をはじめ、チャーリー・プースやアンダーソン・パークが手掛けたブギー、ゲイリー・クラークJrを迎えた重厚なスロウ、ジェネイ・アイコとの親密な共演、さらにはトロピカル・ハウスまで、ジャケ画の通り色彩豊かな内容はジョンの全方位性を総括したかのよう。DJキャンパーが制作/客演した“I'm Ready”でのマーヴィン・ゲイ作法の歌唱も上々。故コービー・ブライアントらに捧げたラプソディとの美麗な哀歌を含め、BLM的にも響く愛に満ちた快作だ。