宝塚歌劇団を彷彿とさせる〈男子のみ〉で構成される歌劇団を舞台に、演じるという事に真摯に向き合い、才能を開花させるべく研鑽を積む少年たちの青春譚。入学から退団まで一気に駆け抜けた1巻の〈幕間〉のエピソードがアンコールとして紡がれる新シリーズが本巻。時系列が不規則でいて、過去を回想しているようなモノローグ、往年のギムナジウムものにも通ずる、少年から青年期までの限られた時間の中で揺れ動く繊細な心象描写。登場人物の背景や葛藤が、華やかで温かな美しい線描により、濃密に描かれていくことで、より1巻の物語の説得力や作品の魅力が増していく素晴らしい構成に感嘆です。