高まる熱を封入した独立後の初アルバムはその名も『PURE 40』! 結成24年を迎えたいま、よりクリエイティヴに進化した最高純度の3人がここにいるぜ!
今年で結成24年目となるTOTALFATが11枚目のアルバム『PURE 40』を完成させた。今作は自主レーベルのALL AGESを立ち上げて初のフル・アルバムとなり、そこには並々ならぬ熱量が封じ込められている。メロディック・パンクを軸に多彩な曲調とゲストを招いた渾身の一枚について、Jose(ヴォーカル/ギター)、Shun(ヴォーカル/ベース)、Bunta(ドラムス/コーラス)の3人に話を訊いた。
これ以上は割れない硬さ
――現在はツアー真っ只中ですが、アルバムの制作はいつ頃から?
Shun「作曲は去年の11、12月から今年の1月ぐらいまでの短期間でギュッと詰めてやりました。いつもシーズンを分けて曲を録ることが多かったけど、ワンタームで全部録り切るスケジュールだったんですよ。海外を含めてギリギリまでライヴを入れたことで、気持ちが高まるなかで作れたから、いいアルバムにできたと思います」
――ライヴの勢いをダイレクトに落とし込めたと?
Shun「そうですね。あと、やっと去年からコロナを忘れてライヴできるようになったじゃないですか。フロアをどうさせたいのか明確にして曲を作れました」
Bunta「時間がなかったぶん、いい意味でアレンジに無駄がないし、結果ライヴでも強い曲ができました」
Jose「ツアーで新曲をやるじゃないですか。今回は初日からガンガン盛り上がるんですよ」
――今回は『PURE 40』というタイトルもパンチがありますね。
Shun「全員40歳になって、オリジナル・メンバー3人で24年続けられた俺らのいちばんの強みを押し出そうと。メンバー脱退もコロナも乗り越えて、独立して、ここからまた上をめざすときに純度が高まる気持ちがあったから。そこで〈PURE〉じゃない?って。いまの自分たちを表現する最上級の言葉ですね。3は素数でこれ以上は割れないダイアモンドみたいな硬さというイメージです」
――では、作品の最初のヴィジョンは?
Shun「自分たちで配信の手続きをしたときに、いまは飛距離無限大で届くんだなと思って。じゃあ、インドネシア、台湾、中国をバズらせて、北米、ヨーロッパも攻めたいし。それで英語詞の曲も多くなったんですよ。あと、個人的にはTOTALFAT初期、中期、現在を凌駕するクリエイトで、今作を手に取った人が初めてTOTALFATと出会った頃のことを思い出してほしくて。オールタイムの僕らを新曲に詰め込もうと」
Bunta「そこでブリンク182の最新作(『One More Time...』)が出てくるんですよ。いままでの曲を踏まえて、現在の演奏力で臨んでいたから」
Shun「初期のブリンクからボックス・カー・レーサー、+44もいたし。昔からのファンも引き連れて、ここからまた攻めていくという」
――確かにブリンクの最新作はそんな内容でした。『PURE 40』もそのように全部乗せしつつ、アップデートしたTOTALFATを魅せようと?
Shun「そうですね。“Highway Pt.6”ではKuboty(2019年に脱退)にギターを弾いてもらって、いままでと最新のTOTALFATが繋がったし」
Bunta「『MILESTONE』(2020年)の頃はただKubotyがいなくて、3人ががんばって演奏している状態だったけど。いまはみんなでシーケンスを作って、Kubotyがいない余白をアレンジで埋められるようになったから。やっと海外の作品と聴き比べても遜色ない作品ができたなと」
――今作を聴いて、日本のメロディック・パンクは世界にまったく負けていないと改めて思いました。オープニング曲“Departure's Call”の冒頭ではライヴ中のMCをコラージュしていますよね。
Shun「過去のMCを切り取りました。僕らの精神性が研ぎ澄まされて、アルバムが始まるイメージです。作ったきっかけはOZROSAURUSの『NOT LEGEND』?」
Bunta「うん、この曲でMCを入れる手法はそこからインスパイアされました」