人気アニメ「ガールズバンドクライ」から飛び出したリアルバンドがいよいよ躍進! 物語を彩ったエモーショナルな名曲たちを実体化するアルバムが早くも登場!
いろんな場面が浮かぶアルバム
メディアミックス作品「ガールズバンドクライ」の劇中バンドと連動して結成された、〈既成概念ぶち壊し系エモり散らかしロックバンド〉ことトゲナシトゲアリ。リアルバンド活動と声優活動を並行して行う5人のメンバー、井芹仁菜役の理名(ヴォーカル)、河原木桃香役の夕莉(ギター)、安和すばる役の美怜(ドラムス)、海老塚智役の凪都(キーボード)、ルパ役の朱李(ベース)による同バンドが、今年4月から6月にかけて放送されたTVアニメの人気と共に大躍進している。
〈バンド〉や〈音楽〉の夢を追って不器用ながらも真っ直ぐに進む5人の姿を描いた胸を熱くさせるストーリー。葛藤を抱えながらも純粋で現代の若者らしいリアリティを感じさせるキャラクター。東映アニメーションの最先端技術を駆使したハイクオリティな3DCGアニメーション――作品のブレイク理由にはさまざまな要因が考えられるが、やはり大きいのは、玉井健二(agehasprings)のプロデュースによって生まれた楽曲たちが放つ、尖った魅力だ。

そんなアニメの主題歌や挿入歌の集大成としてリリースされるのが、トゲナシトゲアリのセカンド・アルバム『棘ナシ』。アニメ放送開始前に発表してきた楽曲を収めたファースト・アルバム『棘アリ』に対して、「アニメから入ってくれた方には親近感がある、アニメのいろんなシーンを思い出しながら楽しんでもらえるアルバムになったと思います」(夕莉)と語る通り、今回は新川崎(仮)(仁菜・桃香・すばるによるバンド)やbeni-shouga(智・ルパによるバンド)名義の曲、劇中のライバル・バンドにあたるダイヤモンドダストの楽曲も併せて収録され、アニメの物語やキャラクターの背景・関係性などを踏まえた〈アニメソング〉としての醍醐味を堪能できる作品になっている。
理名「“空白とカタルシス”(11話の挿入歌)は、10話で仁菜が家族に笑顔で送り出してもらって、実家の熊本から川崎に帰る新幹線の中で歌詞を書いた、仁菜が初めて作詞した曲ということもあって、個人的にもすごく思い入れがあります。トゲトゲらしい攻撃的なサウンドで、ドアタマはベースとヴォーカルだけで始まるところとか、ギターの速弾きとか、本当にかっこいい!」
朱李「“視界の隅 朽ちる音”(5話の挿入歌)は、新川崎(仮)とbeni-shougaが合流するきっかけになった楽曲なので、ルパ的には思い入れがありますし、初めて収録されるbeni-shouga名義の楽曲、“心象的フラクタル”は智ちゃん役の凪都が歌っていて、声が加工されてボカロみたいにケロケロしているし、トゲトゲのゴリゴリなバンド・サウンドとはまた違った雰囲気で新鮮でした」
夕莉「私はやっぱり、1話の桃香が登場するシーンで歌った“空の箱”が印象深いです。まさか自分がアニメで歌うことになるとは思わなかったので(笑)。この曲は劇中で仁菜が〈すごく大切な曲〉と言っているように、アニメの中でも桃香の弾き語りヴァージョン、仁菜がメインで歌うヴァージョン、ダイヤモンドダストのヴァージョンが出てきますし、大事なシーンの裏でBGMとして流れたりもしている重要な曲なんです。私は歌のレコーディングが初体験で、普段の自分の歌声ではなく〈桃香〉として歌わなくてはいけないのが難しくて、すごく苦戦しました」
理名「ちゃんと桃香さんらしさがあってめっちゃいいと思う! 夕莉ちゃんとカラオケに行くと、桃香の歌い方とは全然違うんですよ」
朱李「普段の歌い方はかわいい!」
夕莉「そうなんです(照)。でも桃香がかわいく歌うのは違うと思って。かっこよくてクールな感じで歌うために、桃香として歌う前にはいつも〈空手家のおじさん〉をイメージして、〈自分は強いんだぞ!〉って想像してから〈河原木桃香!〉と名乗って歌うようにしています(笑)」

アニメに負けないくらいの魅力
さらに、メンバーたちも「ライヴでやるのが楽しみ」と口を揃えるのが、アニメ最終話となる13話、川崎クラブチッタでのライヴ・シーンで披露された“運命の華”。希望へと繋がるクライマックスに相応しい、いままでにない開放感に満ちたピアノ・ロックだ。
理名「これまでのトゲトゲらしくない明るい曲調で、それぞれの演奏も手数が多くて、アニメ関係なしに〈集大成〉という感じがする曲です。歌っていても楽しいですし、ラスサビ前には〈1, 2, 3, 4!〉と叫ぶフレーズも入っていて。この部分、実は音源だと私が全部歌っていて、私が何人もいるんですけど(笑)、ライヴではみんなにも歌ってほしいです」
夕莉「アニメのトゲトゲのライヴシーンがすごく良かったので、実際の私たちがライヴで演奏しているところもぜひ見てほしいし、いままでとは違う攻撃的ではない明るい曲調だからこそ演奏していて楽しいので、私たちも楽しみです」
その一方で、アニメでは流れなかったトゲトゲの新曲も2曲収録。そのうち“闇に溶けてく”は、アレンジの密度の高さ、鬱屈を感じさせる歌詞、それらを吹き飛ばすような疾走感など、ボカロ以降のバンド・サウンドを意識したトゲトゲらしいスタイルを踏襲するナンバーに。
理名「“気鬱、白濁す”や“爆ぜて咲く”と同じMisty mintさんが作ってくださった楽曲で、歌詞に〈闇〉という単語が入っていることも含めて、自分の中では〈夜〉のイメージが強いです。疾走感がありつつもメロディーはゆったりゆらゆらしていて、歌っていてすごく気持ちいいです!」
夕莉「理名ちゃんの高音がすごくきれいで何回も聴きたくなる。ギター的にはアルペジオが多めなので、がんばらないといけないけど(笑)」
朱李「曲名から想像したイメージよりも爽やかで、サビ前のキーボードのフレーズがすごく好きなのでぜひ注目して聴いてほしいです!」
もうひとつの新曲“蝶に結いた赤い糸”は、従来のトゲトゲにはなかったタイプの正統派ロック・バラード。理名のエモーショナルな歌声を含め、バンドの新境地を感じさせる名曲に仕上がっている。
理名「他の楽曲では攻撃的で想いを叫ぶような歌い方をすることが多いのですが、この曲は切なさや息の混ぜ方を意識して、〈ザ・バラード〉という感じの歌い方をしました。私はボカロばかり聴いて育ってきたので、いままでこういう曲調に触れたり歌ったりする機会があまりなくて。でも、歌詞の〈君がいたせいだ〉というフレーズを見て〈これは絶対に仁菜と桃香の歌だ!〉と思ったので、レコーディングのときも二人のシーンを思い浮かべながら、感情を乗せて歌うことができました」
夕莉「二人があの日、川崎の駅前で出会ったことによって、人生が大きく変わったっていうね」
理名「そう、そんな歌だと思います」
デビューから一年が経ち、アニメの放送も大好評のうちに終えたなか、バンドとしても歌唱・演奏・パフォーマンスなどあらゆる面で成長を実感しているというトゲナシトゲアリ。9月13日にはセカンド・ワンマン〈凛音の理〉が聖地・川崎クラブチッタで開催され、その後もさらに会場の規模を広げた3、4回目のワンマンも年内に予定されている。そして2025年1月には、声優とリアルバンド活動を融合させたコンテンツの先駆けとなる「BanG Dream!(バンドリ!)」発のバンド・MyGO!!!!!との対バンも決定しており、アニメ・シーンに吹き荒れている〈ガールズ・バンド〉ブームの一角として、今後さらなる飛躍が期待できそうだ。
朱李「この間、MyGO!!!!!のワンマン・ライヴにみんなで伺ったのですが、終演後にご挨拶させていただいたとき、みなさんすごくフレンドリーで優しくて。最初は〈ライバル視されてたらどうしよう……〉と思っていたのですが(笑)、私たちも他のガールズ・バンド・アニメのみなさんと一緒に、さらに盛り上げていけたらと思います」
夕莉「アニメが終わって初のワンマンを聖地で開催できるということで、アニメに負けないくらいリアルな私たちの魅力を感じていただけるライヴにするため、いまがんばっています!」
理名「アニメが始まる前は数百人キャパのライヴハウスでやっていたので、お客さんとの距離がすごく近かったんです。ハコが大きくなるにつれて距離が遠くなるかもしれないので、寂しい気持ちも少しあるんですが、それと同時に、一度にたくさんの方に私たちの音を届けられる嬉しさもあるので、いまは楽しみな気持ちでいっぱいです。ぜひライヴに足を運んでいただければと思います!」
9月11日にリリースされるサントラ『ガールズバンドクライ』(ユニバーサル)
左から、トゲナシトゲアリのシングル“雑踏、僕らの街”“誰にもなれない私だから”“視界の隅 朽ちる音”“空白とカタルシス”、ダイヤモンドダストのシングル“Cycle Of Sorrow”(すべてユニバーサル)
アニメ本編の映像作品。
左から、「ガールズバンドクライ Vol.1」「ガールズバンドクライ Vol.2」「ガールズバンドクライ Vol.3」(すべてユニバーサル)。Vol.4以降も順次リリース予定です!
トゲナシトゲアリのファースト・アルバム『棘アリ』(ユニバーサル)
【2024年9月2日追記】記事の初出時、タイトルの一部に誤りがございました。謹んでお詫びし、訂正させていただきます。 *Mikiki編集部